「奄美・沖縄」の世界遺産決定、国有林野7割【話題を追う】

「奄美・沖縄」の世界遺産決定、国有林野7割【話題を追う】

日本政府が世界自然遺産に推薦していた「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島・沖縄両県)を世界遺産一覧表へ記載することが7月26日の世界遺産委員会(オンライン開催)で決まった。登録対象地域の面積は約4万3,000haで、その約7割を国有林野が占める。アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなど国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されている絶滅危惧種や希少な固有種の生息地となっており、林野庁は国有林野のほぼ全域を森林生態系保護地域に指定して厳格な保護管理を行うことにしている。

国内の世界自然遺産登録地は、「奄美・沖縄」で5件目。これまでの登録地に占める国有林野の割合は、「屋久島」が95%、「白神山地」が100%、「知床」が94%、「小笠原諸島」が81%となっており、“地主”としての存在感が高まっている。

推薦から足掛け4年、一旦取り下げとコロナ延期を経て登録

環境省と林野庁が共同で「奄美・沖縄」の推薦書を提出したのは、2017年2月のことだった。だが、前年末に返還された米軍専用施設「北部訓練場」(9割以上が国有林)*1が対象地に含まれていないことをIUCNが問題視し、登録の延期を勧告*2。日本政府は推薦書を一旦取り下げ、対象地域などを見直して2019年2月に再提出するという異例の対応をとった。これで正式登録への道筋は開けたが、昨年6月に予定されていた世界遺産委員会は新型コロナウイルスの影響で延期され、またも“待った”がかった。国内最後の世界自然遺産と呼ばれる「奄美・沖縄」が正式に認知されるまで、足掛け4年を費やす難路だった。

『林政ニュース』編集部

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