政府は、大規模な太陽光発電事業のあり方を検討する関係省庁連絡会議を新たに設置し、9月24日に初会合を開く(9月19日に発表)。
発電出力が1メガワット(MW、1,000kW)以上の大規模な産業用太陽光発電設備はメガソーラーと呼ばれ、広大な土地に大量の太陽光パネルを敷き詰めるため、災害リスクが高まり、自然環境への悪影響などが懸念されている。
9月2日には、北海道釧路市の釧路湿原周辺で進められていたメガソーラーの建設を巡って、森林法違反を理由に北海道が事業者に対して工事の一部中止を勧告する事案が起きた。政府は、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギー(再エネ)の導入を推進する方針をとっているが、メガソーラーに関しては地域や自然との共生をいかに図っていくかが課題となっている。
釧路湿原での建設計画は中断、「共生」に向け森林法等での対応を検討
政府が新設するのは、「太陽光発電事業の更なる地域共生・規律強化に向けた関係省庁連絡会議」。資源エネルギー庁と環境省が事務局となり、農林水産・文部科学・経済産業・国土交通の各省が構成員として参画する。設置理由として、「再エネの導入拡大に当たっては、地域との共生が図られることが大前提である」との認識を示し、今後はFIT/FIP制度の支援によらない太陽光発電事業の導入拡大が見込まれていることを踏まえ、現行の関係法令によって適正な歯止めをかけられるかを議論する。林野庁関連では、森林法に基づく林地開発許可や盛土規制法に基づく工事許可などが検討の対象になる。
釧路市の事案では、(株)日本エコロジー(大阪市中央区、松井政憲社長)が釧路湿原近くの約4.3haの土地でメガソーラーの建設事業を進める中で、北海道の許可を得ないまま森林を伐採したことが発覚し、森林法違反により事業を中断する事態となっている。
急増する太陽光発電事業に対する懸念は各地に広がっており、地域との共生を求める再エネ条例を制定した自治体は2024年度末時点で323に達し、9年間で13倍に増えている(政府資料より)。
林野庁は、太陽光発電目的の林地開発許可基準を2023年4月から「0.5ha」に引き下げて規制を強化している*1。だが、省庁の枠組みを超えるような大規模開発を伴うメガソーラーへの対応はこれまでにない課題であり、政府が新設した関係省庁連絡会議の議論の行方が注目される。
(2025年9月19日取材)
『林政ニュース』編集部
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