消費地と産地を仲介、関西の4信金が国産材マッチング事業

木材製品の調達難が続く中、関西の信用金庫が連携して消費地の住宅業者と産地の木材業者を仲立ちする取り組みを始めた。枚方信用金庫(大阪府枚方市、吉野敬昌理事長)が京都北都信用金庫(京都府宮津市、吉田英都理事長)、新宮信用金庫(和歌山県新宮市、浦木睦雄理事長)、きのくに信用金庫(和歌山市、田谷節朗理事長)の3信金に呼びかけた。きっかけは枚方信金の吉野理事長が今年2月に京都府綾部市のゴルフ場を訪れた際、伐採跡地が植林されているのを見て「不思議に感じた」こと。「山林を伐採してソーラーパネルを設置する事業の融資を数多く手がけていたので、(林業生産活動が行われているのは)なぜだろうと思った」と振り返る。調べてみると、木材の需要はあるが、外材の供給難から手当てが厳しくなっていることなどがわかった。取引先の住宅業者からも4月、5月と時を追うごとに仕入れや価格への影響が深刻化しているとの声が増え、ビジネスマッチングを希望する声も上がってきた。

包括連携協定を締結、ビジネスマッチングを進め課題解決へ

吉野理事長は、「これは緊急性を要する」と判断し、近隣の木材産地に拠点を置く3信金の理事長に直接に呼びかけて5月末に包括連携協定を締結。それぞれの取引先である住宅業者と木材業者の商談を仲立ちすることにした。数量や品質の調整を円滑に行うため、材木店の流通機能も必要に応じ活用する。

現在、マッチングを希望しているのは、枚方信金の取引先である住宅業者34社と産地側の木材業者20社。実際に調整を始めてみると、人手不足で伐出量を増やせないことや木材乾燥能力が不足していることなど、林業や製材業界が抱えている課題がわかってきた。今後はそうした課題の解決もサポートし、国産の木材が使われやすい条件を整えていく。

吉野敬昌・枚方信金理事長の話「資源はあるのだから、ユーザーが認める価値さえ創造できれば利用が進み、双方がプラスになる。どんな課題でもワンストップで解決できる信金のネットワークを生かして、地域再生のお手伝いをしたい」

『林政ニュース』編集部

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