岐阜県は、今年度(2022年度)から新たな「森林づくり基本計画(第4期)」をスタートさせた(計画期間は2026年度までの5か年間)。重点施策のトップに「災害に強い循環型森林づくり」をあげ、「主伐・再造林推進ガイドライン(仮称)」を策定して造林・保育事業の補助率をアップすることを明記した。2017年度から実施した前計画では、主伐・再造林面積が目標値の約4割(665ha)にとどまっており、支援策を強化して森林資源(齢級構成)の平準化を目指す。
造林補助率を95%にアップ、新規造林専門会社の支援も
「ガイドライン」には、伐採・造林計画書の作成や伐採時の許可・届け出、安全対策などを記載し、県と事業者の間で協定を締結する。協定の対象森林については、再造林や下刈り等に関する補助率を85%から95%に引き上げる。また、早生樹等の植栽にも定額助成を行い、人工林の若返りを図る。
造林補助等の拡充と併せて、担い手育成の支援策も強化する。同県の林業従事者数は936名(2019年度時点)。このうち671名は素材(原木)生産に従事しており、造林・保育の従事者は265名にとどまる。この状況を改善するため、今年度から「新規造林専門会社等スタートアップ支援」事業を行う。起業して5年以内の造林・保育専門会社や造林・保育部門を新設した素材生産・建設会社を対象に、自立支援金として上限54万円(9万円/月×上限6か月)を給付する。また、造林・保育指導員の派遣に伴う経費についても上限72万円(1万8,000円/日×上限40日)の助成を行う。このほか、事業体や森林組合と新規就業者をマッチングする「森のジョブステーションぎふ」や県立森林文化アカデミーなどとも連携して担い手の確保・育成・定着を目指す。
木材利用促進条例の制定や森林サービス産業なども推進
岐阜県の新・基本計画では、林業・木材産業の振興や、森林の新たな価値の創造にも注力する方針を打ち出した。
都市の木造・木質化など新たな需要を開拓するため、今年度中に「ぎふ木の国・山の国木材利用促進条例(仮称)」を制定する。国が定めた改正木材利用促進法の趣旨を踏まえ、「非住宅建築相談センター(仮称)」の設置や「ぎふの木コンシェルジュ(仮称)」の育成・認定など取り組みを強化する。
また、県全体で推進しているDX(デジタルトランスフォーメーション)化の一環として、新たに「木材事業者等のデジタル技術による業務改善等への支援」を実施する。4月28日には、林業・木材産業及び工務店関係者などを対象にして1回目のセミナーをオンラインで開催し、約20名が参加した。脱FAX化や生産工程管理、配送システム等のデジタル化に取り組む事業者をサポートする。
このほか、森林空間の活用を促進する「森林サービス産業推進協議会(仮称)」の設置や、県営林のJ-クレジット取得なども行い、新・基本計画のテーマである「『清流の国岐阜』の未来を支える森林づくり」を実現することにしている。
(2022年5月1日取材)
『林政ニュース』編集部
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