北海道に総面積が49万5000ha、対象市町村数が175に及ぶ広大な「特定植栽促進区域」が設定された。道全域で成長の早い「特定苗木」の「クリーンラーチ」を植栽し、主伐・再造林を推進する広域的な取り組みがスタートする。
全道の175市町村を指定、愛媛県に続き全国で2番目
同区域は、4月に愛媛県が全国のトップを切って約5万ha・17市町を対象に指定している。道の設定はこれに続くもので、道知事による指定は6月8日付けで行われた。
昨年(2021年)4月施行の改正間伐等特措法で新設された同区域では、特定母樹(エリートツリー等)から育成された特定苗木を使って省力・低コスト型の再造林を行うことにしており、認定事業者には、林業・木材産業改善資金の償還期間の延長や法定交付金、起債の特例措置、補助率の引き上げなどの優遇措置が適用される。
特定苗木の「クリーンラーチ」を活用、所有者負担軽減策も講じる
道が同区域で植栽を進めるクリーンラーチは、2013年度に特定母樹の第1号に指定された中標津5号(グイマツ)とカラマツ精英樹を交配して開発された。従来の主要造林樹種であるカラマツなどと比べて、初期成長が早く、野ネズミ等の食害に強く、材の強度が高いという特性を持ち、植林本数の低減や下刈りの軽減など省力化効果も期待できる。
道は、クリーンラーチの苗木生産量を2030年度には120万本へ増やす目標を立てており、道内の22か所に民間採種園を整備して母樹を育成している。また、現状では種子の生産量が少ないことを踏まえ、試験研究機関と連携して挿し木による増産技術の普及にも取り組んでいる。
森林所有者への支援策も講じており、昨年度(2021年度)からは、道と市町村が連携して再造林に必要な費用負担を実質6%にまで軽減する「豊かな森づくり推進事業」を行っている。担当の森林整備課は、「道内の人工林の多くが利用期を迎えている。限られた労働力で伐採後の植林を着実に進めるために、省力化・低コスト化を一層促進する必要がある」と話している。
(2022年6月8日取材)
『林政ニュース』編集部
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