5年に一度行われる製材JAS(日本農林規格)の見直しに向けた木材業界側の要望事項が固まった。乾燥材などに関する表示方法を簡素化して“使い勝手”を高め、非住宅建築物など新たな需要の獲得を目指すことにしている。
乾燥材は「SD」表示、簡素・合理化を図る
今回の製材JAS改正は、機械等級区分構造用製材に焦点を絞って行われる。都市部を中心に中高層の木造ビルが増える一方、2階建て木造戸建て住宅を対象にした4号特例の適用範囲が縮小されるなど、構造計算に必要な品質・性能を持つ木材製品へのニーズが強まっている。だが、2021年度の機械等級区分構造用製材の供給量(格付実績)は約60万7,000m3(前年度比7%増)にとどまっており、認証工場を増やすことなどが課題になっている。
製材JAS改正の検討作業は、(独)農林水産消費安全技術センター(FAMIC)が7月28日に設置した原案作成委員会が中心となって進め、農林水産省のJAS調査会で審議した後、2024年8月までに規格を改正する。
このスケジュールを踏まえ、全国木材組合連合会のJAS検討委員会は、6月27日の会合でFAMICに提出する意見をまとめ、見直しが必要な事項を示した。この中で乾燥材に関する表示方法については、含水率が20%以下であれば「SD」と表示し、必要に応じて「SD15」も表示するよう改めることを提案。通常の住宅や軸組の非住宅建築物など大半の用途で「SD20」が問題なく使われている実態を踏まえ、含水率20%以下のJAS製品は「SD」で一括表示し、標準的な乾燥材に位置づけることを求めている。
また、標準寸法表を見直し、一般的に流通している寸法に絞り込むことも提案。標準寸法表をシンプルにすることで、需要者からの注文への対応力が高まり、製材工場や流通業者は売れ筋製品をストックしやすくなるとみられている。
このほか、寸法精度や未仕上げ材の規格も、住宅工法の変化や格付実績など実情に即して簡素化や廃止を検討すべきとしている。
(2022年7月28日取材)
『林政ニュース』編集部
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