昨年度(2021年度)の国有林材供給量が前年度(2020年度)より約3割アップの516万m3(素材(丸太)換算)に増えた。ウッドショックで国産材へのニーズが強まったことを受け、立木販売の前倒し実施や素材生産請負事業の早期発注、生産した素材の早期販売などを行ったことが増産につながった。コロナ禍で需要が縮小した2020年度は緊急的な減産対策を行い、供給量を389万m3まで抑えていた。木材需要の振れ幅が大きくなっている中で、国有林材の供給量を弾力的にコントロールする機能が今後も求められる状況になっている。
増産要請に対応し、一定の需給調整機能を担う
林政審議会(土屋俊幸会長)が9月7日に了承した2021年度の「国有林野の管理経営に関する基本計画の実施状況」(「国有林ミニ白書」)の中で、国有林材供給量などに関する最新の実績値が明らかになった。

2021年度の国有林における伐採量は前年度(809万m3)より133万m3増の942万m3。これを立木販売によって233万m3(対前年度比94%増)、素材販売で283万m3(同5%増)を供給した。
また、国産材の需要拡大に取り組む製材・集成材・合板工場などと協定取引を行う「システム販売」の供給量を前年度から26万m3増の190万m3に増やし、市況変動の影響を受けにくい供給ルートの確保も進めている。
債務返済額は6億円増の217億円、累積で1,358億円に
一方で、国有林野事業の債務返済額が着実に増え続けている。2021年度は、林産物収入等から所要経費を差し引いた217億円(前年度は211億円)を返済に充て、累積返済額は1,358億円(同1,141億円)に達した。
2013年度に国有林野事業特別会計を一般会計化した際、1兆2,721億円に膨らんでいた債務については「債務管理特別会計」に移して林産物収入等によって返済し、国民負担は発生させない仕組みにした。林野庁が策定している累積債務返済計画では、今年度(2022年度)末の累積返済額を1,500億円としており、現段階ではほぼ計画に沿ったペースで債務返済が進んでいる。
(2022年9月7日取材)
(トップ画像=国有林野事業の債務返済状況 )
『林政ニュース』編集部
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