宮城県が低コスト林業・再造林対策を強化、補助を見直し「500万本造林」に着手

宮城県は、低迷している再造林率を引き上げて民有林(人工林)の若返りを促進するため、今年度(2021年度)から林業生産活動に関する低コスト・省力化対策を拡充・強化した。森林整備事業の補助内容を見直すとともに、新たに「チャレンジ!みやぎ500万本造林事業」を創設させた。

同県の民有林における造林面積は年間200~300haで推移しており、再造林率は3割程度にとどまっている。最大のネックは主伐で得られる収入に対して再造林経費の方が大きいことにあり、県は現状を打開するため、のような施業体系を目指すことにした。

これまで県内で行われてきたha当たり3,000本植え、下刈り5回の普通造林から、一貫作業によるスギコンテナ苗2,000本植え、下刈り原則3回に転換することで、再造林経費(造林初期経費)は約269万円から約169万円にまで削減できる見通し。さらに、一貫作業による低密度植栽に対する補助率を10分の4から5に引き上げることで、森林所有者はほぼ負担なしで再造林が可能になると試算している。

併せて、安易な高齢級間伐がコスト増をもたらしている側面があるため、搬出間伐の補助対象齢級の上限を「標準伐期齢の2倍」から「60年生」に引き下げ、早期に主伐・再造林を行うことを促していく方針だ。

新設した「チャレンジ!みやぎ500万本造林事業」は、県の独自財源である「みやぎ環境税」を活用して5か年事業として実施する。今年度は9,500万円の予算枠を用意し、花粉の少ないスギ等の植栽に対してha当たり85万円以内、下刈りに対して同15万円以内、防鹿柵の設置等に対してⅿ当たり1,500円の補助を行うほか、素材生産業者と森林組合の連携による一貫作業の実施など低コスト再造林に関するモデル的な取り組みに対して最大500万円を支援する提案型公募事業も実施する。また、2か年をかけて花粉症対策スギ苗木の増産施設(ミストハウス)を県林業技術総合センター内に整備する。

宮城県森林整備課の話「植栽本数や下刈り回数の見直しに抵抗感を持つ森林組合等もあるが、意識改革も含め、遅々として進まなかった森林整備の省力化、低コスト化が現場レベルでさらに促進されるよう取り組んでいきたい」

『林政ニュース』編集部

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