【物流の2024年問題に挑む】国産材製品を内航船で首都圏に運び効率化図る瀬崎林業

全国 大阪府 木材流通

【物流の2024年問題に挑む】国産材製品を内航船で首都圏に運び効率化図る瀬崎林業

「物流の2024年問題」の核心は、ドライバーの実働時間が減ることであり、原木や木材製品をトラックやトレーラーで運ぶ回数などを見直して最適化を図っていく必要がある。同時に、陸路だけではなく、海路も活用して、輸送ルートの選択肢を広げることも重要だ。2021年の春頃から発生したウッドショックのときには、東京を中心とした首都圏の住宅市場における木材製品不足が顕著になった。そこで商社筋は、南九州のスギ材産地に目をつけ、日本国内の貨物輸送に使われる内航船でスギ製品を九州から首都圏に輸送するルートをつくった。ウッドショックが沈静化してからも記録的な円安が続いており、海外から木材製品を安定的に調達することは依然として難しい。外材から国産材への転換が急務となる中で、「物流の2024年問題」にも対応しながら海路を活かすにはどうすればいいのか。瀬崎林業(株)(大阪府大阪市、遠野嘉之社長)の取り組みを追う。

瀬崎林業*1*2は、中国・台湾向けに国産材の原木(丸太)を輸出しているとともに、内航船を使って九州から首都圏へ国産材製品を輸送している。これらの事業は大手商社も取り組んでいるが、先鞭をつけたのは同社であり、木材専門商社の強みと海路による輸送ノウハウを組み合わせた独自の物流体制を構築している。

九州~関東の輸送コストにも影響、大量に運べば単価が下がる

瀬崎林業の遠野嘉之社長は、「もちろん市況にもよるが」と前置きした上で、「これからも首都圏の需要に応えるためには九州からの木材製品供給が必要だ」と話す。では、輸送費をどうみるかと尋ねると、「九州から関東までのm3当たり輸送コストはトラックが約9,000円であるのに対し内航船は大量輸送によりそれ以下の単価で運べる」との答えが返ってきた。また、「来年度(2024年度)以降、陸路を使った輸送費の高騰は避けられないので、海路の優位性がさらに高まるのではないか」との見通しを示した。

『林政ニュース』編集部

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