サブスク型セカンドホームで国産材を活かすSANU(サヌ)【木づかい新時代】

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サブスク型セカンドホームで国産材を活かすSANU(サヌ)【木づかい新時代】

昨年(2022年)の「ウッドデザイン賞2022」で環境大臣賞を受賞した「SANU 2nd Home(サヌ・セカンドホーム)」が森林・木材と調和した新しい保養滞在のスタイルを示して注目を集めている。月額5万5,000円(税込み、以下同じ)で手軽に別荘(セカンドホーム)を利用できるようにするとともに、国産材の活用を進めて森林づくりへの貢献を目指している。

7拠点に50棟のキャビン整備、月5万5,000円で利用可能

「SANU 2nd Home」は、(株)SANU(サヌ、東京都中央区、福島弦CEO)が運営・提供するサブスクリプション型のキャビン(小屋)貸し出しサービスだ。東京都心から1時間半から3時間と好立地にあるリゾート地で展開しており、いつでも好きな場所を選んで滞在できる。現在は7拠点に50棟のキャビンがあり、全体の稼働率は約80%と高水準を維持している。

キャビンの貸し出しは会員制で行っており、初期費用はゼロ。会員登録をして、月額5万5,000円を払うと、ピークシーズンを除いて月~木曜日は無料、金~日曜日と祝日及び祝日の前日は1泊5,500円の宿泊費で利用できる(別途、清掃費(3,300円)が必要)。予約やチェックインなどの手続きは、スマートフォンなどを使ってWEB上で行い、人手は必要としない。手軽に滞在してレジャーを楽しんだり、ワーケーションをするなど使い方は自由だ。

コンクリートを使わないキャビンに釜石地方森組のスギ材使用

1月18日の午後、長野県茅野市にある「SANU 2nd Home 白樺湖・2nd」に約40名の見学者がやってきた。一行は、「『ウッドデザイン賞』優秀作品等に学ぶ視察ツアー」のメンバーで、同ツアーの目玉施設として「白樺湖・2nd」を訪れた。

昨年6月にオープンした「白樺湖・2nd」は、8,000m2の敷地内に5棟のキャビンと1棟の管理棟がある。施設整備にあたっては、敷地内の樹木について調べ、伐採本数を最小化する「木を伐らない開発」を行った。また、建築では高床式を採用し、コンクリートは使わずにオリジナルの鉄の杭を6本打ち込んだ上にテント型のキャビンを設置するかたちとした。高床式にすることで、風の流れを止めず、土への負荷を最小化する狙いがある。

建築材料には釜石地方森林組合から調達したスギ材を使用し、釘やビスを極力使わずに解体しやすくする工夫が凝らされている。

キャビン内は、高さ4mの天井と大きな窓によって開放感のある木質空間が広がっており、高速Wi-Fiなども完備されている。

「つくるほど森が豊かになるリジェネラティブな建築」目指す

「白樺湖・2nd」を視察したツアー参加者からは、「ゆったりとした時間が過ごせそう」などの感想が聞かれたほか、山元(森林・林業)との関係に関する質問も出た。「SANU 2nd Home」では、収益の一部で植林活動も行っている。

安齋好太郎・ADXCEO

キャビンの設計・施工を担当している(株)ADX(福島県二本松市)の安齋好太郎CEOは、「つくればつくるほど森が豊かになる『リジェネラティブな建築』を目指している」と説明した上で、「来年度(2023年度)には国産材利用をさらに進めたキャビンをリリースしたい。建築費用の約60%を木材に充てることも検討している」との計画を示した。  

「SANU 2nd Home」のWEBサイトを訪れると、「自然と共に生きる」の文字が飛び込んでくる。この目標の実現に向けて、サービスやキャビンの進化が続いていきそうだ。

(2023年1月18日取材)

(トップ画像=「SANU 2nd Home 白樺湖・2nd」のキャビン)

『林政ニュース』編集部

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