FSCが木材事業者交流会を初開催、認証材の“輪”を広げる

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FSCが木材事業者交流会を初開催、認証材の“輪”を広げる

国際的な森林認証制度であるFSC(森林管理協議会)を日本で運営しているFSCジャパン(東京都新宿区)は、5月16日に木材事業者交流会を東京都内で初めて開催し、約60名が参加した。

冒頭に挨拶したFSCジャパンの太田猛彦代表は、「製紙業界では認証紙が普及しているが、木材業界では認証材の取り扱いが限られている。この交流会が事業者間の連携を促進し、認証材の流通が加速するきっかけになって欲しい」と期待を述べた。

続いて、登米町(とよままち)森林組合(宮城県登米(とめ)()、佐々木照雄代表理事組合長)の竹中雅治参事が講演し、「認証材の引き合いは強くなっているが、供給サイドの出材能力や在庫管理、マーケティングなどが追いつかず需給のミスマッチが生じている」と指摘した上で、今年(2023年)1月に設立した「5Trees NET」の取り組みを説明し、「連携を通じて広葉樹原板を共同出荷し、顧客からの注文に応えている」と語った。また、認証材の具体的な活用事例として、今年3月に竣工した「JAみやぎ登米本店・なかだ支店」を紹介。同物件は、木造2階建てで、FSCのプロジェクト認証を取得している。木材使用量は779m3で、このうちFSC認証材は708m3と9割以上を占める。竹中参事は、「施主と設計事務所が連携し、先に構造材などを発注することで準備期間が増え、資材調達が効率化され、地域材が最大限に活用できた」と解説した。

国内認証林は約41万ha、FSCマークの使用料が増加傾向

FSCは1994年に設立され、国内では2000年に速水林業(三重県尾鷲市)が初めて認証を取得した。その後も認証を取得する事業体等が続き、2006年にはFSCジャパンが発足。今年(2023年)5月1日時点の国内における認証林面積は41万6,361haで、CoC認証には2,085件が登録されている。

普及啓発活動を担っているFSCジャパンの今期の活動費は約1億円で、うち約8,000万円がFSC国際本部からの拠出金、約2,000万円がプロモーションライセンス収入となっている。プロモーションライセンスとは、CoC認証を必要としない非認証取得者が、広告宣伝のためにFSCの商標をプレスリリースやIR・CSR報告書などで使用する権利で、その使用料は増加傾向にあるという。

FSCジャパンの前澤英士事務局長は、「FSCが認知されて需要が高まるとともに、供給サイドの強化が必要になっている」とし、「今後も全国で木材事業者交流会を実施することにしており、認証取得者同士の交流をさらに活発化させていきたい」と意欲をみせている。

(2023年5月16日取材)

(トップ画像=JAみやぎ登米本店・なかだ支店(画像提供:登米町森林組合、(株)エスエス撮影))

『林政ニュース』編集部

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