(後編)「森林信託」で山を動かす伊万里木材市場【遠藤日雄のルポ&対論】

(後編)「森林信託」で山を動かす伊万里木材市場【遠藤日雄のルポ&対論】

前編中編からつづく)国(林野庁)は来年度(2018年度)予算概算要求で、森林の管理経営を「意欲と能力のある経営体に集積・集約化」して重点的に支援する方針を打ち出した。政府の未来投資戦略会議や規制改革推進会議も、同様の観点から検討を進めている。そこで主要な論点の1つとなっているのは、「意欲と能力のある経営体」に森林を集積・集約化していくための誘導策のあり方だ。(株)伊万里木材市場(佐賀県伊万里市)が着手している「森林信託」は、いち早くその“答え”を提示しているともいえる。同社の林雅文・代表取締役と遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長との対論は、林政改革との関わりも視野に入れながら、「森林信託」が内包する本質的な“意味”に近づいていく。

将来は100万m3目指す、取扱量倍増には需要拡大が必須

遠藤理事長

10年後には「森林信託」の契約面積を2万haに拡大し、伊万里木材市場の年間素材(原木)取扱量を80万m3に増やしたいということだが、現実的に達成可能な数字なのか。

林社長

80万m3というのは当面の目標だ。将来的には100万m3の年間素材取扱量を目指したい。

遠藤日雄(えんどう・くさお)

NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長 1949(昭和24)年7月4日、北海道函館市生まれ。 九州大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士(九州大学)。専門は森林政策学。 農林水産省森林総合研究所東北支所・経営研究室長、同森林総合研究所(筑波研究学園都市)経営組織研究室長、(独)森林総合研究所・林業経営/政策研究領域チーム長、鹿児島大学教授を経て現在に至る。 2006年3月から隔週刊『林政ニュース』(日本林業調査会(J-FIC)発行)で「遠藤日雄のルポ&対論」を一度も休まず連載中。 『「第3次ウッドショック」は何をもたらしたのか』(全国林業改良普及協会発行)、『木づかい新時代』(日本林業調査会(J-FIC)発行)など著書多数。

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