(後編)先人の遺志を継ぎ飛躍を目指す伊万里木材市場【遠藤日雄のルポ&対論】

(後編)先人の遺志を継ぎ飛躍を目指す伊万里木材市場【遠藤日雄のルポ&対論】

前編中編からつづく)「システム販売」(協定取引)を主軸にして大量の原木(丸太)を取り扱っている(株)伊万里木材市場(佐賀県伊万里市)は、川上(山、森林)への接近度を一段と高めながら国産材ビジネスを進化させようとしている。既存の原木市場の枠に収まらない同社の取り組みの根源には、林雅文・前社長が描いていた壮大な構想があり、それを受け継いで実践に移している伊東貴樹・現社長の存在がある。明確なビジョンを持って果敢な挑戦を続ける同社の進路の先には、どのような地平が広がっているのか。遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長との「対論」を通じて、未来図が見えてくる。

再造林と育林をセットにして立木購入、コンテナ苗も増産へ

遠藤理事長

これからの木材市場は、「もっと川上に寄り添っていかなければいけない」という伊東社長の言葉は重い。林前社長も同様の問題意識を持ち、全国に先駆けて「森林信託」を導入するなど、川上へのアプローチを強めていた。

伊東社長

弊社を含めた川中・川下業界の“飯の種”は、山から出していただく原木だ。原木を確保し続けるためには、林業経営が安定しなければならない。この当たり前の前提が揺らいでいる。だから、木材市場...

遠藤日雄(えんどう・くさお)

NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長 1949(昭和24)年7月4日、北海道函館市生まれ。 九州大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士(九州大学)。専門は森林政策学。 農林水産省森林総合研究所東北支所・経営研究室長、同森林総合研究所(筑波研究学園都市)経営組織研究室長、(独)森林総合研究所・林業経営/政策研究領域チーム長、鹿児島大学教授を経て現在に至る。 2006年3月から隔週刊『林政ニュース』(日本林業調査会(J-FIC)発行)で「遠藤日雄のルポ&対論」を一度も休まず連載中。 『「第3次ウッドショック」は何をもたらしたのか』(全国林業改良普及協会発行)、『木づかい新時代』(日本林業調査会(J-FIC)発行)など著書多数。

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