【寄稿】東北農林専門職大学に日本唯一の「森林業経営学科」ができます!

【寄稿】東北農林専門職大学に日本唯一の「森林業経営学科」ができます!

農業・森林業に関わる高度職業人材の育成を目的に、東北初となる公立の「東北農林専門職大学」が来年(2023年)4月に山形県新庄市で開学する。同大学に新設される「森林業経営学科」の学科長に就任予定の柴田晋吾氏(山形県農林水産部参事)からフレッシュなメッセージが届いた。

国際化時代に対応した学びを用意、実践的な技術と経営理論も

東北農林専門職大学は、“Glocal Renovator 農林業に新風を”を標榜しており、必修のビジネス英語、国際森林業論などのほか、希望者は海外研修も選択できるなど、国際化時代に対応した学びが用意されています。また、東北各地の経営体や県内各地にある演習林などにおける実習等を通して、実践的な技術と経営理論の両方を学べることが大きな特徴となっています。山形県立農林大学校がある100haに及ぶ広大な敷地内に新しい校舎を建築中であり、内装には山形県産材をふんだんに利用しています。

工事中の大講堂の内部(壁には東京オリンピックで使用した山形県産のレガシー木材が貼られている)

先端」+「伝統」で森の恵み活用、国際的なフォレスターなどを養成

本学には日本唯一の「森林業経営学科」が設けられます。

「森林業」とは、に示すようにスマート林業などの先端分野・特用林産などの伝統分野に加え、林業を起点として、高度な林産加工、健康・教育・レクリエーションなどの森林サービス産業、カーボンクレジットなど様々な森の恵みのフル活用に取り組む概念です。

「森林業経営学科」では、「造林学」や「森林保護学」などに加え、「森林生態系サービス保全利用論」や「SDGsと農業・森林業」のような地球環境時代に対応した多彩な科目が用意されています。様々な森の恵みに着目すれば、森林、そして、環境と経済を両立しながら持続可能な営みが行える「森林業」の可能性は無限大と言えるでしょう。これからの時代は、地域の森を活かして、森を守る、そして、森と共生し、森とつながる時代です。

それをリードしていくのが森の専門家であるフォレスターです。新たな「森林業」のフロンティアを拓く森林業経営者や世界に通用するフォレスターを目指す意欲ある皆さんが入学されることを期待しています。

東北農林専門職大学の全容と最新情報については、こちらをご覧ください。

柴田晋吾氏

柴田晋吾氏のプロフィール】林野庁行政官出身で、FAO(国連食料農業機関)首席技術アドバイザー、上智大学教授・大学院地球環境学研究科委員長、パドヴァ大学客員教授、ケンブリッジ大学客員研究員、カセサート大学客員教授などを歴任し、現在も上智大学大学院で英語科目:Environmental Resource Management Policyの教鞭をとるなど豊富な国際経験と人脈を持つ。アメリカ森林学会所属。埼玉県森林審議会会長。「森林業」の草分けとしても知られ、著書の『エコ・フォレスティング』(2006年、日本林業調査会)などでこの考え方を提唱。最近は欧州などにおける森林生態系サービスの実現のためのイノベーションに関する研究も深めており、『環境にお金を払う仕組み ─PES(生態系サービスへの支払い)が分かる本』(2019年、大学教育出版)などの著書がある。

(トップ画像=建設中の校舎(手前が一般市民も自由に利用できる交流棟、奥が教育・研究棟)、画像提供:東北農林専門職大学)

柴田晋吾(しばた・しんご)

林野庁行政官出身で、FAO(国連食料農業機関)首席技術アドバイザー、上智大学教授・大学院地球環境学研究科委員長、パドヴァ大学客員教授、ケンブリッジ大学客員研究員、カセサート大学客員教授などを歴任し、現在も上智大学大学院で英語科目:Environmental Resource Management Policyの教鞭をとるなど豊富な国際経験と人脈を持つ。アメリカ森林学会所属。埼玉県森林審議会会長。「森林業」の草分けとしても知られ、著書の『エコ・フォレスティング』(2006年、日本林業調査会)などでこの考え方を提唱。最近は欧州などにおける森林生態系サービスの実現のためのイノベーションに関する研究も深めており、『環境にお金を払う仕組み‐PES(生態系サービスへの支払い)が分かる本』(2019年、大学教育出版)などの著書がある。

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