来年度(2025年度)予算要求に盛り込む林政関係の重点施策が固まってきた。1月から週1回ペースで会合を重ねてきた自民党の林政対策委員会(中谷元委員長)*1が4月末までに関係者からのヒアリングや現地調査を終え、提言をまとめる段階に入った。国内人口の減少と高齢化が進行していることを踏まえ、森林の集積・集約化を加速する「新たな仕組み」を検討することが“目玉”に浮上してきている。
国内の森林は所有構造が小規模・分散化しているためスケールメリットが発揮できず、生産性等が上がらない要因となっている。この対策として、2019年4月に施行された森林経営管理法*2に基づき、手入れの行き届かない森林を市町村が引き受けて管理・経営する取り組みが進められている。だが、自民党の会合では、集積・集約化した後の“受け皿”が不十分という指摘が目立った。
同法施行から5年目の見直し時期を迎えていることもあり、森林の集積・集約化を一段と後押しできる「新たな仕組み」が必要との意見が強まっている。その具体的な中身を描き出していくことが今後の焦点となる。集積・集約化の中核である市町村の事務負担を軽減する措置や、所有者不明森林を処理する手続きの簡素化などのほか、立木の購入から再造林・保育までをワンストップでこなせる林業経営体への支援強化策などが議論されている。
このほか、来年度予算要求に向けては、「物流の2024年問題」への対応を含めた国産材の需要拡大や、山村地域の活性化、花粉症対策の強化、国土強靭化対策の推進、森林環境譲与税の活用促進などを主要課題に位置づける方向となっている。
(2024年4月25日取材)
『林政ニュース』編集部
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