林業と木材・木製品製造業の労災保険料率が4月から引き下げられる。厚生労働省が設置している労働政策審議会の労災保険部会が昨年(2023年)12月26日の会合で来年度(2024年度)から労災保険料率を見直す方針を決めた。これを受けて、同省は関係省令を改正し、4月1日付けで適用する。
林業の労災保険料率は、現行の1,000分の60から52へ8ポイント、木材・木製品製造業も1,000分の14から13へ1ポイント引き下げられ、事業主負担が軽減される。
林業と木材・木製品製造業の労災保険料率は、全産業平均と比べて極めて高い水準で推移している。
林業の労働災害発生率(死傷年千人率、2022年時点)は23.5で全産業平均(2.3)の約10倍、木材・木製品製造業は12.3で同じく5倍強となっている。22年には林業で28名、木材・木製品製造業では9名が死亡しており、労災ゼロに向けて安全な作業環境をつくることが喫緊の課題となっている。
4月から労災保険料率が引き下げられることは、他産業並みの就労条件実現に向けた“一歩前進”といえるが、2021年6月に閣議決定した「森林・林業基本計画」(第650・655号参照)では、「今後10年を目途とし、死傷年千人率を半減させる」目標を設定しており、まだ“道半ば”というのが現状だ。
(2023年12月26日取材)
(トップ画像=林業における労働災害発生の推移、画像提供:林野庁)
『林政ニュース』編集部
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