【2024.1.1林野庁人事解説】東北局長に大政康史氏、能吏・宮澤俊輔氏去る

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【2024.1.1林野庁人事解説】東北局長に大政康史氏、能吏・宮澤俊輔氏去る

林野庁は、1月1日付け(一部12月31日付け)で人事異動を発令した。東北森林管理局長と四国森林管理局長が交代し、本庁木材利用課長にも動きがあった。

東北局では、2年2か月にわたって局長をつとめてきた宮澤俊輔氏(昭和63年入庁・東大林卒)が退職し、後任に森林研究・整備機構森林総合研究所総括審議役の大政康史氏(平成元年・九大砂防)が起用された。

昨年末で役人生活にピリオドを打った宮澤氏は、才気煥発な能吏として知られ、川上から川下、国有林にとどまらず環境分野などでも強い存在感を放ってきた。東大の林産学科出身というキャリアを活かし、木材分野の係長、課長補佐、貿易対策室長、課長を総なめした上に農林漁業信用基金の総括理事もこなし、「川下5階級制覇は前人未到」(本人談)。TPP等の林産物関税交渉でも最前線に立ち、世界初の非農産品セーフガード措置を実現するなど国益の確保にも尽力した。その宮澤氏がリタイアするのは少々早い気もするが、同期入庁の織田央(ひろし)氏(東大林)がすでに長官職を終え、小坂善太郎氏(名古屋大林)がナンバー2ポストの次長を担っている今の布陣を見極めて、第2の人生に舵を切ったのか。本人は、「役人人生に悔いなし。今後はできる範囲で社会に貢献したい」とサバサバとした表情で林野庁を後にした。

宮澤氏からバトンを受けた大政氏は、入庁直後に当時の青森局・一関の治山事業所で主任をつとめて以来、33年ぶりの東北入り。本庁治山課長や森林技術総合研修所長をこなし、森林総研の事務方トップである総括審議役では「裏方の仕事もやらせてもらいました」と話す。独特のハイトーンボイスに細身の体躯もあいまって、実年齢(56歳)よりぐっと若く見える。休日の畑仕事に加え、「昨年末からボルダリングを始めました」と開拓精神に溢れる。愛媛県出身。

四国局長に土佐高校出身の竹内氏、木材利用課長に林野初の難波氏

事務官ポストである四国森林管理局長も交代した。遠藤順也氏(平成元年・東大法)が退職し、昨年10月に農水産業協同組合貯金保険機構理事から大臣官房付に異動していた竹内純一氏(平成3年・東大法)が後任に就いた。竹内氏は、四国局のある高知県の香美市(旧香北町)出身で名門・土佐高校から東大に進んだ。ただ、地元出身とはいえ、高校時代は自宅を午前6時40分に出て、バス、電車、路面電車を乗り継ぎ土佐高着は午前8時。片道約1時間半を要し、「部活動などはできませんでした」と振り返る。周囲の竹内氏評は、「とにかくやさしい、いい人」。そのとおりで、挨拶回り中に割り込んで取材した際も、嫌な顔ひとつせず、「林野庁は(入庁直後の林政課勤務以来)30年ぶりです」と柔和に語った。55歳。

竹内純一氏

同じく事務官指定席の本庁木材利用課長に、1月1日付けで難波良多(なんばりょうた)氏(大臣官房付、平成14年・東大法)が着任した。前任の三上善之氏(平成13年・東大行政)*3は昨年12月14日付けで坂本哲志・農林水産大臣の秘書官に転じており、それまで宮下一郎・前農相の秘書官をつとめていたのが難波氏。要するに、三上氏と難波氏は入れ替わったわけ。

難波良多氏

新木材利用課長の難波氏は、岡山市で生まれ、県立岡山芳泉高校から東大に進学した。林野庁勤務は初めてとなるが、長野県南部の松川町に出向した経験があり、中央・南アルプスの山並みに親しんだという。スラリとした体躯で所作もスマート。これから国産材の需要拡大などを担うことになる。44歳という若さを活かした新機軸の打ち出しを期待したい。

(2024年1月5日取材)

(トップ画像=大政康史氏(左)と宮澤俊輔氏(1月5日に林野庁内で撮影))

『林政ニュース』編集部

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