農林水産業に労災保険を全面適用、任意加入の規定撤廃へ

厚生労働省は、農林水産業の労働者に対して労災保険(労働者災害補償保険)を全面的に強制適用する方針を固めた。現在は、小規模な経営体については労災保険加入を任意としているが、来年(2026年)の通常国会で根拠法を改正するなどして強制適用に切り替える。

労災保険は、原則として労働者を使用するすべての事業に適用されるが、小規模な農林水産業については、就労実態の把握が難しく事業主の事務負担が重荷になることから「暫定任意適用事業」として例外扱いにしている。林業に関しては、厚労省の告示で、「労働者を常時には使用せず、かつ、年間使用延べ労働者数が300人未満の個人経営の事業」については加入を任意と規定しており、「全国で1,000経営体程度が該当している」(林野庁経営課)。

だが、小規模な経営体であっても重大事故が発生しており、労働者を保護する必要性が高まっていることから任意加入の仕組みをなくすことにした。

なお、労災保険料は、全従業員の年度内の賃金総額に業種ごとの労災保険料率をかけて算出し、全額を事業主(会社)が負担している。林業と木材・木製品製造業は、他業種と比べて労災保険料の高さが問題になっている。

(2025年10月20日取材)

『林政ニュース』編集部

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