人材減などに対応した新たな治山対策の検討に着手

全国 治山

林野庁は、新たな治山対策のあり方を議論する有識者検討会を設置し、10月16日に農林水産省で初回会合を開いた。現地検討会を含めて今年度(2025年度)末までに4回程度会合を重ねて成果をとりまとめ、新しい「森林・林業基本計画」に反映させることにしている。

有識者検討会を新設、議論の成果は新・基本計画に反映

林野庁が治山対策の全体的な方向性を検討するのは、2021年3月に「面的」整備の推進などを打ち出して以来のことになる*1

当時と比べて、気候変動の影響が顕著になってきており、これまでは比較的災害が少なかった地域でも激甚災害が連続して発生し、昨年(2024年)には能登半島で地震と豪雨の「複合対策」が起きるなど、新たな対応策が必要になっている。

また、過疎化や人口減の進行に伴って、自治体職員や森林土木事業を担う人材の不足が深刻度を増しており、現場ではマンパワーが足りずに施工スピードがダウンし、実践的な技能の継承も困難になることが懸念されている。

急斜面での土工・緑化工などを担う技術者が不足してきている

こうした状況を踏まえて、有識者検討会では、過疎・人口減少を踏まえた予防対策や、流域全体の保全対策、事業実施の効率化によるマンパワー減への対応、中期的視点からの技術開発などを主な論点にして、議論を深めていくことにしている。

「気候変動や社会情勢の変化を踏まえた今後の治山対策の在り方検討会」委員(敬称略)

 石川芳治(東京農工大学名誉教授、座長)▽浅野志穂(森林総合研究所研究ディレクター(国土保全・水資源))▽五味高志(名古屋大学教授)▽酒井佑一(宇都宮大学助教)▽篠原慶規(宮崎大学准教授)▽堤大三(信州大学教授)

(2025年10月16日取材)

『林政ニュース』編集部

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