林野庁が国有林に創設した樹木採取権制度で、事業実施主体となる「樹木採取権者」が初めて決まった。秋田森林管理署管内に設定した約191haの樹木採取区について、東北森林管理局長は2月18日付けで秋田県素材生産流通協同組合(秋田市、山田一成・代表理事)を樹木採取権者に選んだ。同協組は、今後8年間にわたって樹木採取区内で皆伐を行える権利を得た。
8年をかけて約191haを皆伐、新規需要拡大を目指す
樹木採取権制度は、国有林内で長期・安定的に伐出事業が行える樹木採取区を特区的に設定して、次代の森林づくりを担える民間事業者を育成するとともに、国産材の新規需要拡大につなげることを目的にしている。
国有林を管理・経営している全国7つの森林管理局は、昨年(2021年)7月から8月にかけて同制度初となる樹木採取区を全国10か所にパイロット的に指定。9月から今年1月まで樹木採取権者の公募を行ったところ、10か所のうち6か所について民間事業者からの申請があった。これを受けて、各局は審査・選定作業を進めており、その中のトップを切って、同協組が樹木採取権者に決定した。
申請のなかった4か所は再公募、需要創出アイディアも募集中
民間事業者からの申請があった残り5か所の樹木採取区については、各局が今年度(2021年度)中に樹木採取権者を決定し、順次、公表していく。一方、申請がなかった北海道局管内の3か所と中部局管内の1か所に関しては、3月1日(火)から6月30日(木)まで再公募を行うことを予定している。併せて、林野庁は、今後の樹木採取権の設定規模を検討するため、国産材の需要創出に関するアイディアを3月18日(金)まで募集している。樹木採取権者の第1号が誕生したことを踏まえ、新たな制度の普及と現場定着を本格化させる方針だ。
(2022年2月18日取材)
『林政ニュース』編集部
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