グリーン成長や新しい林業を柱に予算要求 吸収源対策推進、公共の鍵は強靭化対策

全国 予算・事業

来年度(2022年度)予算要求に向けた検討作業が本格化してきた。政府は7月7日に、予算要求のルールを定めた概算要求基準を閣議了解し、2年ぶりに特別枠(「新たな成長推進枠」)を設け、①グリーン、②デジタル、③地方活性化、④子供・子育ての4分野に重点配分する方針を示した。林野庁は、6月に閣議決定した新しい森林・林業基本計画*1*2で打ち出した「グリーン成長」や「新しい林業」の実現に必要な予算額の確保を目指す。概算要求は8月末に締め切られ、年末に来年度政府予算案が決まる。

昨年はコロナ禍で、概算要求の提出が9月末に後ろ倒しされたが*3、今年は「例年の作業スケジュールに戻る」(林野庁首脳)。特別枠は、裁量的経費等を10%減らし、その3倍まで要求できる仕組み。各省庁は、重点4分野に沿った目玉要求を行って予算の獲得を競う構図となる。

6月18日に閣議決定された「骨太の方針2021」では、新たに「森林吸収源対策を強化する」と明記され、新・基本計画に基づいてエリートツリーによる再造林や持続的な経営体の育成、都市での木材利用促進に取り組むことが列挙された*4。公共事業に関しては、昨年末に閣議決定された「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」*5の対象に「森林整備・治山対策」が位置づけられており、林野公共予算確保への足がかりになる。

農林水産省全体では、5月12日に策定した「みどりの食料システム戦略」を予算要求の中軸に据える方針だ。同戦略では、2050年までに林業用苗木の9割以上をエリートツリーにする目標を設定したほか、都市の木造化を通じて木材による炭素貯蔵の最大化を図るとした*6。川下関係では、議員立法で改正された木材利用促進法*7の実効性を高めるための予算措置も講じる予定。「今年度の補正予算も含めて、必要な要求を確実に行っていく」(同)という状況になっている。

*1国産材需給1.4倍、4,200万m3目指す、新「基本計画」の2030年目標値決める

*2新「森林・林業基本計画」と「全国森林計画」を閣議決定

*4骨太方針に「森林吸収源対策」の強化明記 「基本計画」や「森林整備・治山対策」も

*7脱炭素社会を目指す改正木促法成立、民間の取り組み支援

『林政ニュース』編集部

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