高知県が2023年度に全国で初めて創設した「環境不動産」制度の第1号物件として、同県いの町内で竣工したCLTパネル工法による木造4階建て賃貸住宅が3月28日に認定された。
「環境不動産」とは、非住宅建築物や中高層住宅で一定以上の木材を使用することにより、二酸化炭素(CO2)の排出抑制や炭素の貯蔵、地場産業の振興などへの貢献度が高いと評価された物件のこと。認定されると、容積率の緩和や不動産取得税の免除といった優遇措置が適用されるとともに、地域社会へのPR効果なども高くなる。

CLTパネル工法の木造4階建てを認定、響建設が建設
初認定を取得した木造4階建て賃貸住宅は、(株)響建設(高知市)がいの町内で建設していた「X-ino」で、2月28日に完成した。
「X-ino」は、耐震性と耐火構造によって「安心性」を追求するとともに、外断熱構造と2重遮音工法を採用して高い「居住性」を低コストで実現している。木材使用量は211.57m3で、CLTの使用量は152.75m3。県産のスギを県内でラミナに加工し、岡山県の銘建工業(株)に持ち込んでCLTに製品化したものを床と壁に用いた。
第1号認定物件を手がけた響建設は、2023年2月に県との間で「建築物木材利用促進協定」を締結し、これまでにCLTパネル工法による3階建て賃貸住宅などを6棟建てている。
同社は、今年度(2024年度)の「高知県木の文化賞(県産木材利用促進の部)」を受賞しており、現在もCLTパネル工法による賃貸住宅1棟を県内において建築中で、今年(2025年)3月には完成する予定。担当者は、「これからも地域に根ざしてCLT建築物の普及促進に取り組みたい」と話している。
(2025年3月10日取材)
(トップ画像=「環境不動産」に認定された木造4階建て賃貸住宅の外観、画像提供:高知県)

『林政ニュース』編集部
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