全国木材チップ工業連合会(佐合隆治会長)は6月9日に東京都内で輸入燃料(チップ・ペレット)を扱うバイオマス発電事業者向けの勉強会を開催し、主要商社など約30社・団体が参加した。
FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に認定された木質バイオマス発電所が全国各地で稼働し始め、燃料に使われるチップやペレットの輸入量も増加している。だが、合法性や持続可能性が確認されていないケースも散見されることから、遵守すべきガイドラインなどについて理解を深める場を設けた。
木質バイオマス発電所向けの燃料供給については、2017年7月に総務省が不適切事案の存在を指摘し、ガイドラインの周知徹底を勧告した。総務省は、昨年(2021年)7月にも、発電用燃料の調達が木材需給に与える影響を見極めるよう意見を表明している。
6月9日の勉強会では、林野庁の担当官が発電用木質バイオマス証明ガイドラインをはじめ合法性証明ガイドラインやクリーンウッド法などの要点について説明した後、チップ連の審査委員で北海道立総合研究機構林産試験場の前川洋平氏が輸入燃料を取り扱う際の留意事項について解説した。前川氏は、発電用燃料を日本に持ち込むまでは合法性証明ガイドラインに準じ、国内に入ってからは発電用木質バイオマス証明ガイドラインに即して管理していくことが基本とした上で、サプライチェーンを整理し、チェックリストを使って点検作業を行い、確認書類は廃棄せずに5年間は保存して開示請求等に備えるべきなどと実践的なポイントを挙げた。
発電用燃料に限らず、木質資源全般に関わって複数の証明制度やガイドラインなどが並立する状況になっており、業界全体で最新の知見を共有することが益々重要になってきている。
(2022年6月9日取材)
(トップ画像=輸入燃料を扱う大半の事業者が参加した)
『林政ニュース』編集部
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