マレーシア産合板の関税率を50%削減、TPPルール適用

海外 税制

マレーシア産合板の関税率を50%削減、TPPルール適用

マレーシアから輸入される合板の関税率が6~10%から3~5%に引き下げられた。同国が環太平洋経済連携協定(TPP)の締約国となり、11月29日付けでTPPのルールが適用されて関税率が50%削減された。関税率引き下げの影響がどう出てくるかは見通せないが、輸入量が急増した場合はセーフガード措置が発動される。

TPPに関する交渉は2015年10月に大筋合意に達し、日本やカナダ、オーストラリア、ベトナムなどはそれぞれ批准等の手続きを終えて締約国となっている。マレーシアは国内手続きが遅れていたが、11月29日付けで9番目の締約国となり協定発効の対象となった。

TPPの取り決めにより、マレーシアから輸入される合板の関税率は、協定発効とともに50%削減され、2033(令和15)年3月までは横ばいとし、同年4月には撤廃されてゼロになる。この間に輸入量が急増した場合は、関税率を自動的に協定発効前の水準に戻すセーフガードが発動される。セーフガードの発動数量は毎年増加し、恒久的措置となっている。

今年度(2022年度)のマレーシア産合板に設定されているセーフガード発動数量は、熱帯産木材合板が112万7,600m3、広葉樹合板が66万5,200m3。これに対し、2021年度の輸入実績は熱帯産木材合板が59万2,000m3、広葉樹合板が19万3,000m3と開きが大きく、現段階ではセーフガードの発動が検討される状況ではない。また、協定発効前の関税率が低かったこともあり、50%削減となっても商取引に直接的な影響が出るかは不透明だ。林野庁の木材貿易対策室も、「状況の推移を注視していきたい」としている。

(2022年11月29日取材)

(トップ画像=マレーシア産合板の関税率引き下げとセーフガードの仕組み)

『林政ニュース』編集部

1994年の創刊から早30年! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。

この記事は有料記事(766文字)です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。