「林業技能向上センター」が一般社団法人化 検定制度創設へ体制強化、外国人材活用も

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「林業技能向上センター」が一般社団法人化 検定制度創設へ体制強化、外国人材活用も

2019年から任意団体として活動してきた「林業技能向上センター」(事務局=全国森林組合連合会)が9月26日付けで一般社団法人となり、10月12日に東京都内で第1回社員総会を開催して役員体制や今後の事業計画などを決めた。

同センターは、伐木作業を中心とした林業に関する国家資格の技能検定制度を創設し、外国人材の受け入れ拡大にも対応することを目指している。具体的には、職業能力開発促進法に基づく技能検定制度の職種に「林業」を新設し、同センターが試験指定機関になることを軸に検討を進めており、監督官庁である厚生労働省との協議も重ねてきたことから、技能検定試験の本格実施に向けて体制を強化した。

林業版の技能検定制度ができると、現場作業を評価する客観的な基準に基づいて所得の向上や作業環境の改善などを図ることが可能になる。外国人材の受け入れについても、現行の在留期間1年間(技能実習1号)を3年間(同2号)に延ばすことができ、業界の最大懸案である人手不足問題の解消に向けて新たな道筋が拓ける。

業界試験など重ね最短で3年後の実施目指す、賛助会員を募集

同センターは3年前の4月に、事務局の全森連のほか、日本林業協会、全国素材生産業協同組合連合会、全国国有林造林生産業連絡協議会、日本林業経営者協会、日本造林協会、全国山林種苗協同組合連合会の7団体で発足。その後、全国木材組合連合会、全国林業改良普及協会、森林施業プランナー協会も加盟し、現在は10団体が正会員となっている。

10月12日の社員総会では、理事長に全森連会長の中崎和久氏、副理事長に全素協・全国造生協専務理事の小山富美男氏、専務理事に全森連常務理事の飛山龍一氏、監事に造林協会常務理事の赤木利行氏を選任するなど、一般社団法人としての執行体制を整えた。

林業版技能検定制度の創設については、業界関係者からの要望も強く、同センターでは「最短で3年後の試験開始を目指す」(事務局)ことを目標に掲げている。これを実現するため、今年度(2022年度)は、実技と学科による業界試験を全国の6か所で実施するとともに、厚生労働省が立ち会うトライアル試験を岐阜県で行う。来年度(2023年度)も同様に業界試験とトライアル試験を重ね、検定員や会場の確保、試験問題の内容精査など本格実施に向けた準備を整えた上で、厚生労働省に「林業」の追加職種申請をする。申請後は、専門委員会による審査などで1年程度を要するとみられており、省令が改正・告示されて同センターが試験指定機関になれば、国家資格としての技能検定試験を行うことができるようになる。

業界試験(実技・学科)は北海道、秋田県、岐阜県、奈良県、愛媛県、熊本県の6会場で行う(画像は9月22日に秋田県で行われた学科試験の様子)

技能検定試験に合格した者は「技能士」と呼ばれ、社会的地位の向上やキャリアアップが図れる。雇用する側も、「技能士」を配置することで業務の安全性や効率性が高まり、公共事業の受注などでも有利になるとみられる。 同センターでは、技能検定試験の本格実施に向けてサポーターの輪を広げるため、賛助会員(年会費1万円)を募集している。賛助会員になると、技能検定試験に関する情報や資料(過去問題集等)が随時届くようになる。問い合わせ等は、同センター(☎03-6700-4738)へ。

(2022年10月12日取材)

(トップ画像=全森連の会議室で第1回社員総会を行った)

   

『林政ニュース』編集部

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