45度の急斜面にも対応できるイタリアMDB社製の造林機械「LVシリーズ」が国内での実用化に向けて最終調整の段階に入っている。住友林業(株)(東京都千代田区)と全国森林組合連合会(同)及び農林中央金庫(同)が輸入代理店である(株)ギガソーラー(東京都港区)と連携して、北海道などで実証実験を重ねている。
同シリーズは、ラジコン式の造林機械で最大距離100mまで遠隔操作でき、装着するアタッチメントを切り替えることで、伐根処理や下刈りが行える。
性能面での特長は、走破性と馬力の高さ。実証実験で採用されている「LV 800 PRO」は、傾斜45度の斜面でも走行でき、約80馬力(55.4kW)を有する。直径約30cmの伐根であれば約90秒で処理ができ、傾斜約30度の林地でも1日当たり約1haの下刈りを行える。価格は1台約1,800万円と、ハイスペックなマシンであるだけに高価になっている。
住友林業は、今年度(2022年度)中に「LV 800 PRO」を北海道と高知県に1台ずつ導入する予定。同社山林部の杉山純之・グループマネジャーは、「コスト面だけをみるとやや割高に感じられるかもしれないが、人手不足の深刻な造林分野で安全性の向上や省力化を図れるメリットは大きいと判断した」と話している。
もともと平地での草刈り機械として開発された同シリーズを林業仕様に改造したギガソーラーの青木克伸社長は、「初めて取り組んだ4年前は、林地ではまるで使い物にならなかった」と振り返る。その後、キャタピラの横幅を広くし、スパイクを装着して足回りを強化するなど、バージョンアップを重ねてきた。同シリーズは、今年(2023年)4月に販売を開始することにしている。