原木市場を運営する(株)久万木材市場(愛媛県久万高原町)は、昨年(2022年)12月8日に、家屋解体事業などを行っている(有)CSネットワーク(熊本県宇土市)に全株式を譲渡してグループ企業となった。久万木材市場の社名は変更せずに事業を継続する。
久万木材市場は、年間約6万m3の原木を取り扱っているほか、約100haの森林を所有しており、林業経営や森林測量などの事業も行っている。年間売上高は4億円弱で、社員は14名が在籍している。
株式譲渡を仲介したのは、M&A(企業の合併・買収)関連で業界最大手の(株)日本M&Aセンター(東京都千代田区)。後継者がいない久万木材市場と木材事業への参入を検討していたCSネットワークをマッチングしたことで、原木市場などの事業の継続やビジネス領域の拡大などシナジー(相乗効果)が見込めるとしている。同センターの担当者は、「製材やプレカット関連のM&Aは案件が多いが、原木市場や林業会社は珍しい。当社では初めて」と話している。
久万木材市場を傘下に収めたCSネットワークは、1997年に創業し、熊本県を中心に家屋解体や産業廃棄物処理などを手がけている。グループ企業には、チップ製造や山林の伐採、原木の運送を行う会社のほか、木質バイオマス発電事業の運営会社もあり、今年(2023年)夏頃から熊本県内で出力2,000kWの木質バイオマス発電所を稼働させる準備を進めている。
久万木材市場の代表取締役に就任した谷川徳志・CSネットワーク取締役は、「木材流通は各県ごとに展開し、人材やノウハウの相互交流を図りながら、事業を成長させていきたい」と抱負を語っている。
(2022年12月8日取材)
『林政ニュース』編集部
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