2050年「エリートツリー9割以上」を目指す、30年までに3割、「みどりの戦略」策定

林野庁は、2050年までに林業用苗木の9割以上をエリートツリーにする目標を設定した。農林水産省が新たに策定する「みどりの食料システム戦略」の中に明記し、成長に優れた苗木の普及を加速化する。

同戦略は、菅政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の達成に向けて、農林水産分野におけるイノベーションの具体的目標と工程表(スケジュール)を示すもの。3月5日に中間とりまとめ案が公表されており、5月に正式決定した後、9月に開催される国連食糧システムサミットで報告し、国際的な議論をリードしていくことを視野に入れている。

同戦略では、KPI(重要業績評価指標)を設定して目標に対する進捗状況などを検証していくことにしており、林業分野については上ののような案が示されている。

二酸化炭素(CO2)の吸収能力が高いエリートツリーの普及を通じて「脱炭素化」を促進するため、林業用苗木に占める割合を「2030年までに3割」に高め、「2050年までに9割以上」にする目標値を設定する。現状の苗木供給のあり方を約10年で刷新することになる。

また、木材の炭素貯蔵機能を最大化させるため、「2040年までに高層木造の技術の確立を目指す」ことも明記する。

このほか同戦略では、自動化林業機械の開発や農林業機械の電化・水素化、改質リグニンやセルロースナノファイバー(CNF)に続く木質由来新素材の開発なども重点課題に位置づける方針。ブレークスルーとなる革新的技術については、予算や税制・金融での支援措置だけでなく、菅政権が新設した2兆円のグリーンイノベーション基金を活用して社会実装を後押しすることも検討されている。

『林政ニュース』編集部

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