九州初の広域連携「シカ被害対策協定」締結 国・県・3市町で「くくりわな」活用など

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九州初の広域連携「シカ被害対策協定」締結 国・県・3市町で「くくりわな」活用など

九州森林管理局熊本南部森林管理署と熊本県芦北地方振興局及び水俣・芦北・津奈木の3市町は、8月1日に「シカ被害対策協定」を締結した。シカによる農林業被害などの拡大を食い止めるため、民国連携で広域的な対策の実施を申し合わせたのは九州で初めて。

協定に基づき、熊本南部署が所有している「くくりわな」を各市町へ無償で貸し出し、猟友会などを中心にシカ捕獲を進める。芦北地方振興局は、各市町における捕獲頭数などを収集して関係者間で共有し、国の制度なども活用した技術研修等を行って各市町の取り組みを支援する。協定の対象区域は、各市町内の国有林と隣接する民有林及び農地。協定期間は来年(2024年)3月31日までとしているが、特段の問題が出ない限り自動的に延長する。

県南部に位置する水俣・芦北地域では、シカ害が増加しており、2021年度の農作物被害額は1,166万円に達している。最近は、シカ害が柑橘類の樹木にまで及んできており、対策の強化が必要となっていた。

このため、熊本南部署と芦北町は、今年(2023年)の1月末から協定の締結に向けた協議を進めてきた。一方、芦北地域振興局も管内市町や猟友会と連携して、ICTを活用した効率的な捕獲システムの実証・普及をはじめ、新規狩猟免許取得者等を対象とした技術向上研修会(2月実施、約30名参加)や農・林連携による合同学習会(同、約50名参加)の開催などを行ってきた。

国・県・市町の5者が結んだ「シカ被害対策協定」は、一連のシカ害対策を連携させて広域的に強化するモデルになるとみられており、関係者は、「狩猟者の確保をはじめ鳥獣被害防止対策の拡充につなげていきたい」と話している。

(2023年8月1日取材)

(トップ画像=8月1日に芦北町内で協定締結式を行った)

『林政ニュース』編集部

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