協和木材が秋田の門脇木材を完全子会社化 4工場などを傘下に収め事業規模を拡大

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協和木材が秋田の門脇木材を完全子会社化 4工場などを傘下に収め事業規模を拡大

大手国産材製材企業の協和木材(株)(東京都江東区、佐川広興・代表取締役)は、秋田県の(株)門脇木材(仙北市、門脇桂孝・代表取締役)の発行済株式を4月24日付けですべて買い取り、完全子会社化する(買収額は非公表)。

昨年(2022年)から両社の間で協議を進め、今年(2023年)2月の基本合意を経て、4月13日に契約に至った。

協和木材は、福島県塙町と山形県新庄市で大型工場を稼働させており、年間の原木消費量は約60万m3と国内トップクラスを誇る。

一方の門脇木材は、秋田県内に田沢湖(仙北市)・協和(大仙市)・男鹿(男鹿市)の3つの製材工場とチップ工場(大仙市)の計4工場を持っており、年間原木消費量は約11万m3に及ぶ。また、植林・伐採事業、森林土木(治山・林道)事業なども手がけ、約1,800haの社有林を保有し、一般消費者向けの「森の駅」も運営している。

門脇木材を傘下に収めた協和木材は、事業規模が大きく拡大することになり、スケールメリットを生かした需要開拓や新製品の開発などを強化していく方針だ。

社員5名から140名に成長、課題の事業承継に道筋をつける

門脇木材は、1990年に素材生産業者だった門脇桂孝氏(当時40歳)が社員5名で創業し、1995年に製材事業に進出。「木は全部使いきる」を経営理念に掲げて事業領域を広げ、140名の社員を擁するまでに成長させた。

だが、創業社長の門脇氏は現在73歳となっており、次世代への事業承継が課題となっていた。

協和木材とは、国内森林資源の活用・自給率の向上等の事業理念における親和性が高く、さらに新庄工場への短尺原木納入等の取引においても関係が深いことから今回の合意に至った。

4月24日付けで協和木材グループの一員となる門脇木材だが、経営の独立性は維持され、社名や事業内容などは現状と変わらない。門脇氏は相談役に退き、佐川氏が両社の社長を兼務する。

門脇氏は、今後、1,400haの所有林を基盤にして林業経営を行うことにしており、「(協和木材に)いい形で事業を引き継げて本当によかった」と話している。

創業社長の門脇桂孝氏

年間素材生産量は28万m3近くに、ムク材の需要拡大目指す

1953年に創業し、自力で国内最大級の製材企業となった協和木材がいわゆるM&A(企業の合併・買収)の手法をとったのは、今回が初めて。その理由を佐川社長(77歳)は、「門脇木材と弊社は事業内容に共通点が多いから」と説明する。

両社とも山づくりから製材・加工に至る一連の事業に一貫体制で取り組んでいる。協和木材の素材生産量は年間約24万m3、これに門脇木材の同約3万5,000m3が加わることで原木の確保力がアップする。

また、「新庄工場の周辺で伐出した原木を福島工場まで運ぶこともあったが、門脇木材の工場で加工すれば効率化が図れる」(佐川社長)とも見込んでおり、将来を展望して、「両社の強みを活かして相乗効果を出せるようにしていきたい」(同)との方針も打ち出している。

佐川広興・協和木材代表取締役

さらに今後を展望して、佐川社長は、「スギ集成材のとくに管柱については、外材製品に負けない競争力がついた」としており、今後に向けて、「ムク(無垢)材の需要拡大に向けた取り組みを強化したい。梁などの横架材や非住宅分野など伸ばせる余地は大きい」との見方を示している。

(2023年4月13日取材)

(トップ画像=門脇木材の本社がある田沢湖工場)

『林政ニュース』編集部

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