日本初、全国を走る「木育トラック」が完成 藤沢市の「いすゞプラザ」でお披露目会を開く

日本初、全国を走る「木育トラック」が完成 藤沢市の「いすゞプラザ」でお披露目会を開く

広島県三次市の(有)一場木工所(一場未帆代表)がプロデュースする「木育トラック manaviba(マナビバ)」が完成し、6月29日に神奈川県藤沢市の「いすゞプラザ」でお披露目会が行われた。

お披露目会でテープカットをする(左から)末広耕也・日本ウッドデザイン協会専務理事、一場未帆・一場木工所代表、青山豊久・林野庁長官、相川貴之・いすゞ自動車広報部長

いすゞ自動車(株)製の2tトラック「エルフ」をベースにしてつくられた「マナビバ」は、保育と木育の両方で使える多機能型サポート車で、構想から3年がかりで完成した。室内を木質化しインフラを備えたトラックとしてディーラー車検を取得した先駆例となる。

室内の床には(株)ウッドワン製のヒノキフローリング、天井や階段などには(株)キーテック製のLVLシート(キーラムインテリア)、棚には中本造林(株)製のヒノキ集成材などを使用。授乳室・おむつ替えシートがある小部屋のほか、クーラー、発電機、蓄電器、Wi‐Fi、冷蔵庫、照明などの各種設備を完備しており、壁面の棚には木製玩具や絵本などを収納できる。

「マナビバ」は、地域のお祭りやイベント時における子どもの一時預かりや保育・遊びの場としてだけでなく、災害時の支援拠点としても活用が見込まれる。出張方式で運用し、基本料金は1日1台33万円(税込み)。子ども1名の参加費として30分・500円を想定している(条件次第で無料も可)。基本料金には、運転手を含むスタッフ2名の派遣代、トラックや設備使用料、片道100㎞(計200㎞)分の交通費(高速代、燃料費)などが含まれる。

今回のトラックは、千葉県松戸市と埼玉県川口市を拠点とするため、基本的な移動範囲は首都圏4県を想定しているが、全国各地への出張も可能。一場代表は、「木育トラックには森林環境譲与税を活用することもできる。全国各地で利用して欲しい」と話している。

いすゞの木育教室も実施、植えて育てるから「伐る、使う」へ

いすゞ自動車はCSR活動の一環として、2008年から富士山の森林生態系を回復させる「富士山の森づくり」プロジェクトをオイスカとともに行っている。これまでの「植える、育てる」から、今年(2024年)は「伐る、使う」にシフトして木育活動を開始しており、その一環としてトラックなどを木製ミニカーにした「いすゞの木製玩具シリーズ」を製作し、販売・寄贈している。

「マナビバ」のお披露目会では、オイスカとともに、木育プログラム「木育ひろば・森のつみ木広場」を実施。親子が木のおもちゃで遊んだり、紙芝居で森の循環について学んだ。同社は、「運ぶでつなぐ森の循環」をテーマに、定期的に木育教室を行うことにしている。

(2024年6月29日取材)

『林政ニュース』編集部

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