「30by30目標」の達成に向けて国有林も協力 保護地域外の「OECM」設定など推進

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「30by30目標」の達成に向けて国有林も協力 保護地域外の「OECM」設定など推進

自然多様性保全の新たな国際目標である「30by30(サーティバイサーティ)」の達成に向けて、日本政府が取り組みを強化している。

「30by30」は、「2030年までに陸域と海域の30%以上を保全」することを意味し、一昨年(2021年)6月のG7コーンウォール・サミットや昨年(2022年)12月の生物多様性条約第15回締約国会議で、各国が目指す新たな数値目標として合意された。

日本政府は、環境省が中心となって「30by30」の達成に向けた検討作業や体制づくりを進め、今年(2023年)3月31日に閣議決定した「生物多様性国家戦略2023-2030」の中に、目標達成までの行程と具体策を示すロードマップを盛り込んだ。

国内の自然保護地域は、国や自治体が指定・管理する自然公園が主体となっており、そのカバー率は陸域で20.5%、海域で13.3%にとどまっている(2021年8月時点)。これを30%に引き上げるには、保護地域を広げる新たな仕組みが必要であり、ロードマップでは、企業や民間団体、研究機関などと連携して、「OECM(Other effective area-based conservation measures)」を100地域以上設定する目標を打ち出した。「OECM」は、「保護地域以外で生物多様性に資する地域」と定義されており、社有林や学校林なども対象となるため、幅広い関係者の参画が可能になる。

林野庁も、国有林野を活用して保護地域の新規指定や拡張に対応するとともに、「OECM」の設定にも協力していく方針を固めた。国有林野に設定されている保護林と緑の回廊は陸域の約4%に相当している。これに加えて、国有林野をフィールドにして生物多様性保全の活動を行っている地域関係者などとの協定締結などを進め、「OECM」の拡大につなげることにしている。担当の経営企画課国有林野生態系保全室は、「森林の保全は温暖化防止だけでなく、生物多様性保全にも貢献できることを広く伝えていきたい」と話している。

(2023年4月10日取材)

『林政ニュース』編集部

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