炭と薪を原点とする東京燃料林産が創業80周年記念式典開く

炭と薪を原点とする東京燃料林産が創業80周年記念式典開く

木炭・薪をはじめLPガスやガソリンなどの供給を通じてエネルギーインフラを幅広く支えている東京燃料林産(株)(東京都千代田区、廣瀬直之社長)が創業から80周年を迎え、10月27日に東京都千代田区の帝国ホテルで記念式典を開催した。

同社は、戦時下の1943(昭和18)年に統制組織として発足した東京都燃料配給統制組合をルーツとし、1948(昭和23)年に株式会社の東京燃料林産として業務を開始した。木炭と薪の供給で事業基盤を固めた後、燃料革命に対応して取扱品目をLPガスや灯油、重油、軽油などに拡大。さらに、ガソリンスタンド経営やカーリース、保険、車検などのサービスも提供するなど事業領域を広げてきている。

廣瀬直之・東京燃料林産社長

記念式典で挨拶に立った廣瀬社長は、「燃料革命やオイルショック、リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍という厳しい環境の中で何とか生き残ってくることができた」と創業からの歩みを振り返った上で、「岩手県の葛巻町に『企業の森』として森林を30haほど買わせていただき、和歌山県のみなべ町ではウバメガシの植林を行い、『尾張備長炭』や熊本県あさぎり町産の木炭の販売を手伝わせていただいている。木炭の新しい産地をつくっていきたい」と抱負を述べ、「社有林をJ-クレジット化しながらカーボンオフセットのLPガスをつくるなど、国家的課題であるカーボンニュートラルに貢献できることがたくさんある。神社仏閣を中心とした日本の文化を大切にしながら、90周年、100周年に向けて社業の発展につとめたい」と決意を語った。

清水宮司「神田明神の氏子総代として重い責務を果たしている」

記念式典には、全国燃料協会の古久根進会長、神田明神の清水祥彦宮司、アストモスエネルギー(株)の荒木徹副社長、寺田倉庫(株)の寺田航平社長、葛巻町の鈴木重男町長らが来賓として招かれ祝辞を述べた。

このうち、古久根会長は、「1945(昭和20)年に廣瀬社長の祖父である與兵衛氏が中心となり、全国の燃料配給統制組合を母体として全国燃料組合連合会が創立され、これが当会の前身となっている」と経緯を解説し、「與兵衛氏と廣瀬社長の父である元夫氏は会長を、廣瀬社長には副会長をお願いし、3代にわたって業界のリーダーとして支えていただいている」と謝意を伝えた。

清水祥彦・神田明神宮司

また、清水宮司は、廣瀬社長が神田明神の氏子総代10人の1人であることを紹介し、「(氏子総代は)伝統ある神田と日本橋のまちを代表する老舗や企業から選ばれ、地域の歴史、伝統を担う重い社会的責務を負われている」と語り、「東京燃料林産が行っている事業の根底には、相互扶助と利他の精神があるとかねてから承っている。誠に賞賛に値する素晴らしい精神であり、今の混迷する時代にあって、私達が改めて見直さなければならない本当に大切な価値を体現されている」と賛辞を贈った。

(2023年10月27日取材)

(トップ画像=記念式典には文化人や取引先の関係者など約270人が出席した)

『林政ニュース』編集部

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