東北専門職大学と3つの「林業大学校」開校 山形・栃木・徳島・香川に人材育成拠点

東北専門職大学と3つの「林業大学校」開校 山形・栃木・徳島・香川に人材育成拠点

森林づくりに関する実践的な知識や技術が学べる人材育成拠点が山形県、栃木県、徳島県、香川県で4月1日に“開校”した。来年度(2025年度)には鹿児島県にも「林業大学校」ができる予定となっており、全国的な広がりが出てきている。

山形県新庄市で開学した4年制の東北農林専門職大学*1は、農業経営学科と森林業経営学科の2学科からなり、定員は両学科で40名。4月8日に同校で開学式と入学式が行われ、森林業経営学科には9名が入校した。同学科の教員は研究者4名と実務家4名で構成され、「理論と実践を関連づけて学べるハイブリッドな教育研究ができる」(同大学関係者)のがポイント。基礎科目として英語や一般教養、専門科目では造林や森林保全、木質材料、特用林産などについて学び、2年生からは先進経営体での90日間にわたる実習もある。SDGsや脱炭素、生態系サービスから東北の森林資源管理・利活用、農山村活性化などグローバルからローカルまで幅広い視点で物事をとらえられる人材の育成を目指しており、卒業後は森林業学士(専門職)の学位が与えられる。 なお、山形県立農林大学校(2年制)は、同大学との連携を強化するため、4月1日付けで「東北農林専門職大学附属農林大学校」に名称変更し、校舎も同大学の隣接地に新設した。

栃木県産材を使い研修・研究棟など新設、1期生21名が入学

栃木県では、2021年1月に策定した「栃木県林業人材確保・育成方針」に基づき、「栃木県林業大学校」が発足した。宇都宮市の栃木県林業センター敷地内に県産のスギ・ヒノキを使って研修・研究棟や全天候型実習棟など4施設を新設し、①未就業者向けと②就業者向けの2コースを設定。講師は県職員、林業経営体、企業、大学などの専門家が担当する。

①未就業者向けコースは、1年制の長期課程と20日程度の単科研修及び高校生などを対象としたビギナー研修課程(1日程度)からなる。長期課程では、林業の基礎からスマート林業などの最新技術まで学べ、鹿沼市の21世紀林業創造の森と県有林などを演習フィールドとして活用する。県内の林業経営体でインターンシップも行い、卒業時にはチェーンソーや高性能林業機械などに関する10の資格が取得できる。

②就業者向けコースでは、習熟度や役割に応じたスキルアップ研修などを行う。初級者と中級者向けの研修は30~40日程度で定員は各10名程度。上級者向け、現場リーダー、経営者・事業体幹部向けの研修の定員は各5名程度としている。

4月8日に「栃木県林業大学校」の入学式が行われ、第1期生として21名が入学した

このほか、とくしま林業アカデミー(徳島県徳島市)の姉妹校として徳島県三好市に「三好林業アカデミー」が開設された。研修期間は1年間で、募集人員は5名程度。昨年(2023年)設置した三好林業イノベーションセンターが運営主体となる。授業内容と取得できる資格はとくしま林業アカデミーと同様だが、研修終了後は三好市内の林業事業体などに就業することを受講資格にしている。4月8日に同市の池田総合体育館で入学式が行われ、第1期生として5名が入学した。

香川県立農業大学校(香川県琴平町)は、既存の「造園緑化専攻コース」を再編・拡充して、「林業・造園緑化専攻コース」を新設した。林業分野では、森林に関する施業や経営、木材流通などを学び、林業機械の実習も行う。専修学校の認定を受けており、卒業時には短大卒の学歴と専門士の称号が与えられる。

(2024年4月10日取材)

(トップ画像=これからの林業を担う人材の育成拠点が山形県、栃木県、徳島県、香川県で新たに“開校”した。画像は、除幕式を行った栃木県林業大学校、画像提供:栃木県)

『林政ニュース』編集部

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