イトーキが国産材を活用した交流拠点「SYNQA」を開設【木の新名所探訪】

東京都 家具・建具

大手オフィス家具メーカーの(株)イトーキ(大阪市、松井正社長)が国産材を活用した交流拠点「イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA(シンカ)」を中央区京橋に開設した。“都市の中で木を使う”ことをテーマに掲げている同社のシンボル施設となるもので、斬新な“木づかい”の工夫を随所に見ることができる。

全国各地の木材を使用、既存ビルの簡単木質化システムも提案

「イノベーションセンターSYNQA」は、地下鉄の京橋駅と直結している11階建てのビルの1~3階を占めており、北から南まで全国各地から調達した木材を内部に使用している。
1階の入口横にあるカフェの壁面にはスギ材が張られており、テーブルや椅子も国産材製。また、1階の天井と床には北海道から取り寄せたカバのムク材を用いている。
2階への階段はカラマツでつくられており、階段踊り場の壁面にはヒノキの集成材で棚を設置し、小物などを展示している。

カフェのテーブルや椅子も国産材製

2階フロアは、ヒノキの集成材で、天井、床、壁などを構成。さらに、同社の新製品である木質内装システムの「サルタス」が据えられている。「サルタス」は、姉妹商品の「アグラム」とともに同社が開発したもので、ヒノキ集成材を部材化して、簡単に木で囲まれた空間をつくれるようにした。建築基準法上は「家具」に分類されるので不燃化処理などの制約がなく、既存のビルでも内装に手を加えることなく設置できる。同社では、会議室や待合室、展示ブースなど、さまざまな目的に利用できると提案している。

2階には木質内装システム「サルタス」を設置

オフィススペースに120mのスギムク材「回廊」、健康への影響も調べる

「SYNQA」の3階はオフィススペースとなっており、机や椅子、棚などに国産材を用いている。とくに目を引くのが、スギのムク材で延長120mの「回廊」をつくっていること。すでに、「回廊」の一部には傷がつき、節抜けしている箇所もあるが、手入れや補修の仕方を含めて、使い勝手を調べていくことにしている。

スギムク材の温かみや柔らかさを実感できる「回廊」

また、「回廊」の一画には、歩幅を変えて消費エネルギーの違いを体感するためのマーキングがつけられている。同社では、働きながら健康増進を図る「Workcise」を推進中。長時間机に向かうことは避け、積極的にオフィス内を移動することを奨励しており、その中で、木製の家具や廊下などがどのような影響を与えるかもチェックしていく方針だ。同社販促PR戦略室の伊藤宏志室長は、「社員にアンケートをとって、木とWorkciseとの関係について明らかにしていきたい。木は精神面にもいい効果があるのではと期待している」と話している。
11月26日にオープンした「SYNQA」は、会員登録をした人ならば自由に利用できるようにする予定。年明けにも会員規約などを示すことにしている。同社エコニファ開発推進室の末宗浩一室長は、「ここは国産材を都市の中で使っていく上での実験場になる」と解説する。「皆さんの意見を取り入れて、新しい木の利用を提案していきたい」――文字どおり、「SYNQA」を「進化」させていく考えだ。

(2012年11月26日取材)

(トップ画像=「SYNQA」1階の天井と床にはカバのムク材を使用している)

『林政ニュース』編集部

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