全市連の会長として業界を支えた後、プレカット事業に参入
創業から134年目を迎えている同社は、本社を京都市内に構え、プレカット工場を舞鶴市に持つ。社員は約60名。年間の売上高は約30億円前後で推移している。
創業者の辻井重太郎氏は木材業で事業を展開し、第3代社長の辻井重郎氏が国産材の原木、製品市場事業を発展させ、全日本木材市場連盟の会長を長きにわたってつとめた。
同社は、全国有数の木材問屋として確固たる地位を築いてきたが、近年は事業内容を大きく変化させている。国産材の市場事業とともに、ロシア材と米材の丸太、製品も多く取り扱う中で、プレカット事業には1995年に参入した。その後、ロシア材は産地国の輸出制限によって取り扱いを中止。市場事業も約10年前に撤退したが、プレカット事業を軸に据えて新建材をはじめとした住宅資材の販売事業をスタートさせた。

施主が直接購入するシステム「まかせと木」で約100棟を竣工
プレカット事業を始めた当時は木材業者を中心に販売していたが、売り先の見直しにも着手した。「『我々の木は誰が見てくれるのか?』を自らに問い、工務店への直接販売を約15年前から始めた」と辻井社長は話す。現在、同社は月間約3,000坪分のプレカット加工と資材販売を行っており、木材業者と工務店へ同程度の比率で販売している。
同社の事業改革は、これだけにとどまらない。2010年からは、施主向けサービス「まかせと木」を開始した。
「まかせと木」は、構造材やキッチン、窓などの様々な住宅資材を施主が直接購入し、工務店などに支給して施工する仕組み(トップ画像参照)。流通の簡素化によってコスト削減ができるほか、施主の住宅資材に対する細かなこだわりにも対応可能になる。辻井社長は、「木材製品を最終的に購入するのは、木材業者でも工務店でもなく施主。ならば施主に直接販売した方がいいと考えた」と狙いを語る。
施工する工務店は、施主自ら探してもいいし、「まかせと木」の登録工務店から選んでもいい。これまでに約100棟の木の家が「まかせと木」で竣工された。
スギ集成管柱「ひなた」を開発・販売、次の百年へ非住宅木造の施工も視野
同社は、新たな木質部材の活用にも積極的に取り組んでいる。代表例が、関連会社と協力して開発・販売している京都府産スギの集成管柱「ひなた」。府産材の需要拡大を目指してつくられた「ひなた」は、炭素を固定しているエコ素材と銘打って年間約3万本を販売しており、梁バージョンも販売中だ。

一方で、都市木造などの非住宅物件ニーズに対応するため、厚板集成材の「WOOD.ALC」なども製品ラインナップに加えている。3年前から社員を建築関係企業などに出向させて実務経験を積ませており、これから中大規模木造建築物の施工までできる体制を整えていく方針だ。
コロナ禍や米国発の木材製品不足など先を見通しづらい状況が続いているが、「中長期的にみれば外材から国産材へのシフトは着実進んでいく」(辻井社長)と見定めて、“次の100年”を目指す姿勢をとっている。
(2021年6月10日取材)
(トップ画像=まかせと木の事業スキーム)
『林政ニュース』編集部
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