長野県大町市の大北森林組合(割田俊明組合長)は、9月1日付けで「北アルプス森林組合」に名称を変更し、新たなスタートを切った。同組合では、2億円を超える補助金の不正受給事件が起き、その事後処理と再発防止の体制づくりに追われてきたが、今年7月に長野県と元同組合専務理事との間で損害賠償請求訴訟の和解が成立し、一連の問題に整理がついた。
事件を引き起こした原因の1つに同組合の赤字体質があったため、2017年度から経営改善に集中的に取り組み、2019年度に黒字転換を果たした。この間、職員数の半減やボーナスカットなどの支出削減を進める一方で、森林土木分野で新たな事業を開拓した。国土強靭化対策事業の一環として行われる河川内の立木伐採や高所伐採などの仕事を引き受けるとともに、工場用地の大規模整備など大口事業も受託し、収入が増加している。
地元の大町市は、昨年7月に長野県内の基礎自治体では初めて国から「SDGs未来都市宣言」に選定された。同組合も「長野県SDGs推進企業」に登録されており、名称変更を機に、従来の木材生産に加えて、脱炭素化事業などを幅広く展開していくことにしている。とくに、管内の約8割を占める広葉樹林の活用に向け、来年2月からチップ製造設備を稼働させる。5年後までには年間5,000tのチップ生産体制を構築し、地域エネルギーの地産地消につなげる計画だ。
同組合では、廃棄される温泉水を使ってチップの含水率を2日間で約5%までに落とす仕組みをつくっており、バイオマス灰を活用した簡易舗装材の実証開発などにも取り組んでいる。割田組合長は、「組合員をはじめ多くの方々から応援していただき黒字化できた。経営陣も一新され、北アルプス森林組合という名称にふさわしい事業を行って地域に貢献していきたい」と話している。
(2021年9月1日取材)
『林政ニュース』編集部
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