いわゆる「第3次ウッドショック」による国産材丸太(原木)の価格高騰に一服感が出て、先を見通しづらい状況になっている。鹿児島県森林組合連合会の隼人木材流通センター(鹿児島県霧島市)が11月5日に行った市売(第1,179回)の結果から“現在地”を確認する。
同センターの昨年度(2020年度)の丸太取扱量は6万5,000m3で、その85%がスギ、15%がヒノキとなっている。それが今年度(2021年度)は「ショック」の影響で丸太への引き合いがかつてなく強く、10万m3に近づくことは確実だ。出荷者も増えており、買方の数も「平時」の30名程度から50名程度に膨らんでいる。
11月5日の出品量は約3,500m3で、スギ丸太の競り(入札)は午前10時に始まった。売り子も買方も皆真剣で、緊迫感も漂う。結局、スギ丸太の平均価格はm3当たり1万2,900円とピーク時(今年6月)の1万7,300円には及ばなかったものの「平時」に比べれば高値だ。品薄の3m柱取りの椪には2万1,500円の札が入ったが、買方に驚きの様子はない。この価格で当然といった空気が流れる。
野村輝明・鹿児島県森連専務は、「南九州の原木市売市場の相場を分析すると、今年7~8月頃をピークとし、以後は穏やかな下落傾向となっている。どこでランディングするのか不透明だが、心配なのは中国に輸出するスギ丸太が極端に売れなくなっていることだ」と話す。また、迫間博文・鹿児島県森連参事は、「近隣の木質バイオマス発電所による燃料用丸太の買取価格は上昇している。これまで海外輸出用と木質バイオマス発電用がスギ丸太価格を下支えしてきたが、今後これがどのように展開していくのか、注視していかなければならない」と気を引き締めている。
(2021年11月5日取材)
(トップ画像=丸太への引き合いは依然として強い)
『林政ニュース』編集部
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