鳥取県が今年度(2021年度)に創設した「とっとりカーボンストレージ認証制度」で初の認証物件が誕生した。同制度は、非住宅建築物で使われている県産材の二酸化炭素(CO2)固定量を算定・認証し、木造・木質化の意義とメリットを“見える化”するもの。脱炭素社会の実現を目指す企業や団体などを中心に普及を進めることにしている。
木造2階建ての就労支援施設が約25tのCO2固定
同制度の第1号認証を取得したのは、ひといろ(株)(鳥取市、板倉一輝・代表取締役)が建設した就労継続支援B型事業所「ワークサポートひといろ」。同事業所は、木造2階建てで延床面積は325m2。県産ヒノキなどを用いたトラス工法によって6m×13mの無柱大空間を構築しているほか、県産CLTの家具を設置するなど木の温もりに溢れた施設となっている。県産材の使用量は約40m3で、約25tのCO2を固定していることが認められた。
1月22日に認証授与式を行うとともに、設計・施工を担当した(株)ヤマタホーム(鳥取市)が22日から24日まで完成見学会を開いて、一般消費者らが木造建築物を体感できる機会をつくった。

同制度は、県産材を10 m3以上使用し、昨年(2021年)4月1日以降に竣工した非住宅建築物を対象にしており、内外装を木質化した場合も県産材を1m3以上使っていれば認証する。CO2固定量の算定は、林野庁が昨年10月に公表したガイドラインに基づいて行う。認証を取得した建築主は企業活動などでPRでき、県も広報等を通じて周知し、社会的評価の向上につなげることにしている。
(2022年1月22日取材)
(トップ画像=県産材を使って広々とした空間をつくった)
『林政ニュース』編集部
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