再造林の推進に向けた国の支援策が来年度(2022年度)から一段と強化される。「脱炭素化」に向けて森林の二酸化炭素(CO2)吸収量を増やすためには伐期に入った人工林を“若返り”させることが必要であり、主伐・再造林をさらにテコ入れする方針だ。
「特定植栽促進区域」などで支援強化、補植にも助成へ
林野庁は、来年度から造林事業の補助水準を見直す(トップ画像参照)。現状は区域や施業手法にかかわらず同じ水準(査定係数170)で補助しているが、再造林を必須とする区域で省力・低コスト施業を行う場合は査定係数を180に引き上げる。実質的な補助率は68%から72%にアップし、「今の仕組みでは最高水準の補助率になる」(整備課造林間伐対策室)。
対象となる区域は、昨年(2021年)3月の間伐等特措法改正で創設された「特定植栽促進区域」で、同区域は都道府県知事が指定する。また、昨年6月に閣議決定された森林・林業基本計画に基づき、市町村森林整備計画の中で、「特に効率的な森林施業が可能な森林」の区域を設定できるようになった。この区域については、皆伐跡地への植栽を認定要件としており、設定されれば最高水準の造林補助率が適用される。
林野庁は、これらの区域設定を促進するために、再造林適地の抽出やゾーニングなどを支援するプログラムソフト(QGISプラグイン)の開発を進めている。現在、全国8か所のモデル地域で実証事業を行っており、4月から都道府県等に同ソフトと手引きを配布して、本格利用に移行する予定だ。
なお、来年度からの造林事業の見直しには、現状は補助対象外となっている補植を、区域内で一定の要件を満たせば認めることも盛り込んでいる。
(2022年2月1日取材)
(トップ画像=造林補助事業見直しの内容(2022年度から適用))
『林政ニュース』編集部
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