| 事業者名 | 東信木材センター協同組合連合会 |
| 代表者名 | 藤原忠彦 |
| 本社所在地 | 長野県小諸市甲鞍掛4747 |
| 創業年 | 1987年 |
| 業種・アンケート種類 | 原木販売業者(NO.3) |
| 年間原木取扱量 | 約11万㎥(2024年度) |
| 従業員数 | 13名 |
| 輸送手段 | 陸送 |
| ヒアリング対応者 | 小相沢徳一・代表理事専務 |
| 事業者名 | 株式会社泉翔 |
| 代表者名 | 小泉秀俊 |
| 本社所在地 | 長野県上伊那郡南箕輪村2380-776 |
| 創業年 | 1974年 |
| 業種・アンケート種類 | 運送事業者(NO.4) |
| 原木輸送売上 | 1,700~1,800万円/月(運送業務の総売上は3億5,000万円/月ほど) |
| 輸送手段 | 陸送 |
| 保有トラック台数 | 約170台(大型トレーラー) |
| ドライバー数 | 約170名 |
| ヒアリング対応者 | 小泉秀俊・代表取締役社長 |
目次
7.1.2.1. カラマツ原木の年間取扱量9万5,000m³、県外出荷量が大きく増加
東信木材センターは、長野県下最大のカラマツ原木販売業者であり、2024年度の原木取扱量は11万m³に達している。このうち、カラマツ原木の取扱量は9万5,000m³と、全体の9割近くを占める。この20年ほどで国産カラマツに対する合板メーカーの需要が急増したことを受け、東北、関東、北陸など長野県外への出荷量が大きく増加している。

出典:小諸市にて調査チームが撮影(2025年2月撮影)
特に、ロシア産カラマツ原木の輸入量が同国の輸出関税引き上げ措置によって激減した2008~2009年頃からは、合板メーカーからの引き合いが強まる一方となり、取扱量が急速に拡大していった。
泉翔が東信木材センターから運送業務を受注するようになったのもその頃である。リーマンショックで、もともと扱っていた鋼材関係の仕事が減り、新たな取り扱い品目を開拓するために同センターへ営業に赴いたのが取引開始のきっかけとなった。
7.1.2.2. 遠隔地でも1日で納品、森林認証材の取り扱いを強化
東信木材センターでは従来、東北や関西など遠隔地への原木輸送でも一般道を使っていた。しかし、「物流の2024年問題」などでドライバーの労働時間が制限されるようになったことを受け、遠隔地へも1日で納品できるように高速道路を利用するように改めた。
その分、運賃はかかり増しになり、高速道路の重量制限に合わせるために積荷の量も減らしている(3連のフルトレーラーで33m³→28~29m³)。二重のコストアップ要因になるが、東信木材センターでは、それが基本的な価格体系として定着するように顧客に働きかけるとともに、カラマツ原木の市場性を高めることにも力を入れている。
その一環として取り組んでいるのが、SGEC森林認証材の取り扱い強化である。最近、顧客の間で認証材へのニーズが高まっていることを受け、適正運賃で購入してもらえるマーケットづくりに注力している。長野県産カラマツは強度の高さに定評があり、そのことも運賃交渉でプラスに働いている。
7.1.2.3. トレーラーへの積み込みは20~30分、仕向け地の近くに拠点を開設
東信木材センターの土場で原木を積載して出発するトラックの台数は、1日に約10台に上る。原木の積む込み作業などの効率を高めて、荷待ち時間を少なくするため、フォークリフトの車種をトラックの荷台の奥まで届く長さの爪をもつタイプに変更した。
現在の平均的な積み込み時間は3連トレーラーの場合で20~30分ほどになっている。終業間際など時間が限られているときには、2人がかりで15分ほどで積み終えてしまうこともある。

出典:小諸市にて調査チームが撮影(2025年2月撮影)
遠隔かつ広範な出荷先を有する東信木材センターの業務に、泉翔では仕向け地の近くに拠点を開設することによって協力している。
例えば、複数の合板メーカーが製造拠点を置く宮城県石巻地区への輸送をしやすくするため、宮城県と県境をはさんで隣り合う岩手県一関市に支店を開設した。高速道路で石巻の工場に原木を届けたトラックは、一関の支店に帰着して1日の業務を終えることができる。
現在、泉翔では東北(一関)のほか、山梨県を含む首都圏に4か所、長野県内に3か所、北陸、中京、関西、九州に各1か所の拠点を有している。
7.1.2.4. ドライバーが労働時間を自己管理、トラックは平均8年で入れ替え
泉翔は、ドライバーの労働時間管理にデジタルタコメーター(デジタコ)を利用しているほか、スマートフォンを使った労働時間の自己申告システムを導入している。ドライバーが自身の労働時間をスマートフォンに入力すると、月末までにあと何時間勤務できるかが明示される。ドライバー自身が確認するだけでなく、本社の管理部門がリアルタイムでデータを把握・管理できるようにしている。
ドライバーの待遇は、基本給プラス運んだ荷物の運賃に応じた歩合給である。労働時間が減った分、働いた分の見返りを得ているとドライバーが実感できるようにするため、適正運賃を支払ってもらえるように顧客へ働きかけている。
会社の売上げを増やし、ドライバーの収入を上げるためには、運賃が高い荷物の扱いを増やすことも必要である。そのためトラックメーカーとも協力して特殊車両の開発にも取り組んでいる。そうした戦略を金融機関にも説明し、設備投資を可能にするための理解を得ている。
車両の管理については、毎月1回の点検をドライバーに義務付け、不具合を確認したら速やかに修理工場で整備している。そのため、それぞれの拠点ごとに近隣の修理工場と契約を結んでいる。
1台あたりの年間平均走行距離は7~8万kmとなっており、トラックの入れ替えは償却年数の5年間に3年間をプラスした8年サイクルで行っている(車両ごとの個体差に応じて長短はある)。
各種資材の納期が長くなっていることを踏まえ、新車への入れ替えが滞らないように入れ替え時期の2年ほど前から準備を進め、計画的に入れ替えが行えるようにしている。 なお、泉翔は、経営上のリスクヘッジのため、複数の会社によるグループ経営方式を採用している。
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(株)日本林業調査会
1954年創業。「林政ニュース」の編集・運営・発行をはじめ、森と木と人にかかわる専門書籍の発刊を行っている。