| 事業者名 | 青森県森林組合連合会 |
| 代表者名 | 須藤廣明・代表理事会長 |
| 所在地 | 青森県青森市松原一丁目16番25号 |
| 創業年 | 1941年 |
| 業種・アンケート種類 | 素材生産業(NO.1) |
| 年間原木取扱量 | 600,000m³ |
| 輸送主体 | 委託 |
| 輸送手段 | トラック、船舶 |
| ヒアリング対応者 | 黒瀧晴彦・参事、齊藤誠・木材部長、山崎高之・木材利用課長 下北木材流通センター所長 |
目次
7.1.3.1. 年間に3~4万m³の原木を船舶で輸送、中心は下北半島の大湊港
同連合会による原木の船舶輸送量は年間4~5万m³程度であり、全取扱量の6~8%を占める。利用している船舶のうち、内航船の積載量は1,300~1,500m³、外航船は約3,000m³前後となっている。
同連合会は、県内5か所の港湾を利用しているが、常時使用可能なのは実質2か所程度である。その中で、下北半島中央部に位置し、陸奥湾に面して「天然の良港」と言われる大湊港からの輸送が中心となっている。

出典:https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kendo/kowan/kowan_minatosyoukai.html
(2025/03/17閲覧)『青森県庁 港の紹介』
7.1.3.2. 「不開港」も利用して輸送コストダウン、西日本の合板工場にも納める
同連合会が船舶輸送を開始した背景には、同県の地理的な特性がある。
県北部の下北半島などから主要な納品先の工場まで原木をトラックで輸送する場合、片道4時間以上かかることがあり、荷積み時間を含めると5時間以上を要する。この長距離輸送というハンディを乗り越えるためには、船舶による原木の大ロット輸送が有効である。

また、同連合会は、約10年前から西日本の合板工場への営業活動を積極的に行い、独自の販路を開拓してきた。この遠距離輸送に対応するためにも、船舶の利用を軌道に乗せる必要があった。
同連合会は、原木の船舶輸送にあたって、「不開港」と呼ばれる港も活用している。「不開港」は、外国船の入出港や貿易は許可されていないが、内航船が入港するための水深は十分に確保されていて船舶の接岸は可能であり、青森県の各地域に設置されているため、集荷に係る陸送部分の輸送コストを大幅に削減することが可能となる。
なお、同連合会は、船舶を使った原木輸送を主に春から秋にかけて行っている。日本海の冬期の海況は厳しく、安全な運行が困難になるため、直近2年間は冬季の輸送は行っていない。
7.1.3.3. 輸出も含めて船舶を確保し、国内外の原木ニーズに応える
「物流の2024年問題」の影響で、下北半島など遠隔地からの原木輸送はさらに困難になっている。従来はトラックで輸送可能だった距離でも、トラックドライバーの労働時間規制により実質的に不可能となるケースが出てきており、委託料も上昇傾向にある。 こうした状況を受けて、同連合会は、原木の船舶輸送をさらに拡大していくことを計画している。そのためには必要な船舶を確実に確保していくことが重要であり、内航船だけでなく、輸出を含めて外航船も積極的に活用していく方針である。特に、同連合会が取り扱っている合板用原木の品質は、海外のユーザーが求める水準を十分にクリアしており、森林所有者など原木の出荷側にとっては、売り先が国内外に存在する状態になってきている。このようなニーズを的確に捉えて、船舶を利用した原木の安定供給体制を構築すれば、山元への利益還元が増えて、森林の循環的利用が進むことになる。同連合会には、その中核となることが期待されている。
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(株)日本林業調査会
1954年創業。「林政ニュース」の編集・運営・発行をはじめ、森と木と人にかかわる専門書籍の発刊を行っている。