国内初の熱電併給施設が完成、「ナンカンボード」「BamWood」を生産・販売
バンブーエナジーの熱電併給プラントは昨年末に完成し、3月中旬頃から本格稼働に入る。燃料となる木質バイオマスは、竹チップ70%・バーク30%の割合とし、クリンカ(溶融灰)対策にメドをつけた。同プラントは、木質バイオマスを1時間当たり3..68t使用して、温水2,800kW、熱媒油4,015kW、電力3,390kWを発生させる。エネルギー利用率は69.1%、バイオマス比率では73.6%となり、余剰温水(1,200kW)も活用できれぱ利用率は77.2%に高まる。直接熱媒油に熱交換する有機ランキンサイクル(ORC)方式を国内で初めて採用する先駆的なプラントになる。

バンブーマテリアルの工場も試験操業に入っており、竹チップとスギチップを混合した「ナンカンボード」は、パーティクルボードよりも安価で供給し、床下地材や置き床材としての利用が見込まれている。ナンカンボードに、不燃・防水・遮音・断熱効果などをプラスした「機能性ナンカンボード」は「不燃」認定を取得して、オンリーワンの商品に育てる方針。また、竹材を2,600tプレスで高密度圧縮した「BamWood」についても、JIS規格に基づく試験により中質繊維板(MDF)を上回る強度が確認されており、フロア材やトラックの荷台などの硬材代替材として商品化していくことにしている。
燃焼灰・蒸煮液も利活用、竹材を軽トラ1台3,000~5,000円で買い取り
同プロジェクトでは、竹の燃焼灰を鳥インフルエンザの防疫剤として利用するほか、BamWoodの製造過程で生じる蒸煮液を養殖タイのエサに混ぜるなど副産物の利用も計画している。
本格稼働にあたって課題となるのは、竹材の安定的な集荷だ。バンブーマテリアルとバンブーエナジーが必要とする竹材は年間2万tに上り、バンブーフロンティアが広域連携で原料調達体制を築くことにしている。
集荷目標は、バンブーフロンティアの自社伐採が1,000t、山鹿市で4,500t(山鹿1,500t、鹿央1,500t、菊鹿1,500t)、南関町・日田市・益城町でそれぞれ2,000tの6,000t、そのほか山都町、和水町などを加え、全体では7市・6町で2万tを確保することにしている。
竹材を買い取る価格は、軽トラ1台(500㎏前後)当たり3,000~5,000円に設定。竹林1ha当たり4,000本、160t程度を収穫できると見込み、毎年2割伐採・搬出すれば軽トラ約320台分になり、放置竹林が5年で整備できるとしている。
竹の利用区分は、根元から1mがチップ用、その次の2m(1番竹)と2m(2番竹)が割竹用、5m以上枝下まで(その他)がチップ用としており、枝葉はエナジー用として1年後から使用する予定。すでに竹材の買い取りを始めている。今後、伐採・搬出に関する補助金などの支援措置がなくなっても集荷を安定化させるには、ナンカンボードをはじめとした新建材商品の販売を軌道に乗せることが課題になる。

(2019年1月30日取材)
(トップ画像=試運転中の熱電供給プラント)
『林政ニュース』編集部
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