チェーンソーやハーベスタを円滑に効率よく動かすためには、チェーンオイルが欠かせない。国内では、1日にチェーンソーで約1.2ℓ、ハーベスタで2.5~6ℓ程度のチェーンオイルが使われ、林内の土壌に散布されているとみられている。

これまでは石油由来の鉱物性チェーンオイルが当たり前のように使われてきた。だが、鉱物性チェーンオイルは、1ℓで100万ℓ分の水を汚染するとの試算値もあり、欧州では微生物によって分解される「生分解性チェーンオイル」を使うことが主流になっている。世界的に生物多様性保全に配慮した森林施業の実践が求められる時代に入り、日本もチェーンオイルを環境にやさしいタイプに切り替えていく必要性が出てきている。
このような状況を踏まえ、林業機械の販売・修理などを行っている(株)リタプラス(大分県日田市、藤川靖治社長)は、新たに「生分解性チェーンオイル」の販売を始めた。
世界的な林業機械メーカー・KESLA(フィンランド)の日本総代理店でもある同社は、欧州で普及している「生分解性チェーンオイル」について研究を重ね、8月1日に日本バージョンを発売した。価格は、18ℓ(一斗缶)で1万1,000円(送料込み、消費税別)とし、これから「林業機械イノベーションフェスタin大分」(8月27・28日、大分県九重町)や「2025森林・林業・環境機械展」(10月5・6日、宮城県石巻市)などの場で本格的にPRしていくことにしている。

「生分解性チェーンオイル」は、鉱物性チェーンオイルと同等の温度帯で使用でき、流動性が高くスムーズな給油が行える。オイルが服に付着しても市販の洗剤で簡単に洗い落せるなどのメリットがある。森林環境譲与税を活用して「生分解性チェーンオイル」の導入を後押しする自治体も出てきており、これから林業現場でどのような“化学反応”が生じるか、今後の推移が注目される。
(2025年8月18日取材)
『林政ニュース』編集部
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