林政の新たな重点課題として「『森の国・木の街』プロジェクト」の推進が打ち出された。小泉進次郎農相が7月1日の閣議後記者会見で表明した。環境省と連携してSHK制度(温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度)*1を活用した木材利用の拡大に取り組むこともテーマに掲げており、来年度(2026年度)予算などで必要経費を確保していくことになる。
小泉進次郎農相が表明、新体制の重点課題に掲げる
小泉農相は、7月1日付けで農林水産省の幹部人事異動*2*3を行って体制を一新したことに合わせて、政策分野ごとに基本的な方向性を設定したと説明。林業分野では、「『植えて育てる』に加えて、全国各地で『使っていく』取り組みを拡げてまいりたい」と述べ、「森の国らしい国づくりに向け、全国で街の木造化を加速する」と抱負を語った。
小泉農相は、神奈川県横浜市で2022年5月に竣工した11階建ての純木造ビル「Port Plus」などがモデルになるとしており、中高層建築物の木造化に向けた防耐火技術や一般流通材を使った標準モデルの開発・普及など条件整備を急ぐ必要があるとの認識を示している。

また、「街ぐるみでの木材利用」を進めるためには、木材製品等による二酸化炭素(CO2)貯蔵効果を「見える化」することが必要としており、企業や自治体等がSHK制度を積極的に活用するように呼びかけるキャンペーンを行うほか、建築物LCA(ライフスタイルアセスメント)などを通じて、他資材等との差別化を進めていくことにしている。
(2025年7月1日取材)

『林政ニュース』編集部
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