山形県森林研究研修センター(寒河江市)は、政府の花粉発生源対策を受け、来年度(2024年度)中に閉鎖型採種園を新設し、スギ「特定母樹」の種子を増産する。同センターが閉鎖型採種園を整備するのは初めて。整備費には、今年度(2023年度)補正予算の「林業・木材産業国際競争力強化総合対策」を活用する。
閉鎖型採種園は、外来花粉の侵入を防ぎ、特定母樹どうしの受粉率を高め、採取量の増加が見込める。同採種園は1棟の温室(間口7m×奥行き18m×高さ4.5m)からなり、室内には散水用のスプリンクラーと運搬用のレールを設置し、作業の省力化・自動化を図り、2026年度から採種を始め、年間最大10㎏の生産を見込む。
同センターは、月山を挟んだ鶴岡市に約31haの林木育種園を有しており、担当者は、「センター内に採種園ができることで少花粉スギの種子がより生産しやすくなる」と話す。
閉鎖型採種園の新設は、同センターの機能強化策の一環。同センターでは社会情勢の変化を踏まえ、試験研究と普及研修で長期的に取り組むべき方向性を示した上で、今後の重点テーマとして、①育種分野、②特用林産分野、③スマート林業分野の3テーマを設定している。
①では、閉鎖型採種園の新設のほかに、松くい虫に強いクロマツの選抜や特定母樹の交配による超優良スギ品種の開発に取り組む。②では、大手きのこ種菌メーカーに頼らないオリジナル種菌の選抜、ワラビやタケノコの新たな活用技術の開発などに必要な施設を整備する。③では、ICT(情報通信技術)機材などによる森林情報の高精度デジタルデータの蓄積、スマート林業の導入に向けた人材育成などに向けた設備や施設を整える。
これらの重点テーマの達成と同センターの機能...
『林政ニュース』編集部
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