木材需給がひっ迫していることへの対策として、林野庁は今年度(2022年度)の一般予備費を使って国産材製品の増産や外材製品からの切り替えを臨時的に支援することにした。政府が4月28日に閣議決定した「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」の中に「国産材転換支援緊急対策事業」として40億2,400万円の必要経費を盛り込んだ。
予備費を使い増産や切り替えを臨時的に支援
昨年(2021年)のウッドショック(木材製品不足と価格高騰)に続き、今年(2022年)3月にはロシアが合板用単板の輸出を禁止するなど、木材需給を巡る状況は不透明さを増している。とくに、海外から木材製品を調達するリスクが高まっているため、直ちに執行できる予備費を活用して業界の“国産材シフト”を後押しすることにした。
「国産材転換支援緊急対策事業」では、①原木・製品の運搬・一時保管緊急支援と②建築用木材の転換促進支援を行って、事業者らの負担軽減を図る(補助率は定額または2分の1)。
①では、遠方から原木を運搬する経費とともに、増産した国産材製品を通常の出荷圏を超えて需要地へ運ぶ費用についても助成する。また、増産した原木や製品の在庫能力を高めるため、一時保管に必要な経費も補助対象にする。
②では、建築物の設計・施工業者が国産材製品への切り替えを図る際に、木材の調達や設計変更に必要な経費について助成する。設計変更の対象にはCLT工法も含める。
なお、政府全体でまとめた「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」では、原油価格の高騰に対する激変緩和措置や賃上げ・価格転嫁対策などに取り組むことも明記されている。
(2022年4月28日取材)
『林政ニュース』編集部
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