「諸塚村森林・林業DX推進協議会」発足、衛星とドローン使い森林クラウドを構築

宮崎県の諸塚村とNTT西日本及び県森林組合連合会は、4月21日に「諸塚村森林・林業DX推進協議会」を設立した。同協議会には、宮崎大学、耳川広域森林組合、県木材協同組合連合会も参加し、諸塚村で森林・林業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する実証事業を行う。期間は10月末まで。

実証事業では、人工衛星とドローンを組み合わせた調査を行って、森林の管理・経営に必要な情報を収集・分析し、デジタル化する。森林デジタル情報は、NTT西日本が独自に構築する森林クラウド上にまとめ、森林所有者や素材生産業者、行政関係者らが森林施業や立木資産評価などに利用できるように「見える」化する。民間企業主体で森林情報のプラットフォームを構築する先駆的な取り組みになる。

約8haの分収林で立木販売を試行、将来は丸太販売に活用も

人工衛星データを使った調査は、約2,500haに及ぶ村内の森林を対象に広域的に実施し、森林資源量の把握や造林の進捗管理などに活用する。

また、約8haの分収林を試験林に設定し、ドローンレーザ計測によって精密なデータを取得し、クラウド上での立木販売を試みる。設定する試験林は40~50年生のスギ林で、素材生産業者らはクラウド上の森林情報を参考にして入札する。担当者は今後の展開方向として、「丸太販売もクラウド上で実施し、トレーサビリティーも確保できないかと考えている」と話している。

同協議会の立ち上げに関する検討は2019年から県森連とNTTの間で始まり、翌20年から同県内で実証実験を行ってきた。その成果を諸塚村での実証事業に反映させる。諸塚村をパートナーに選んだ理由は、「林業立村を掲げて、農林複合経営や林地村外流出防止、産直住宅などの先進的な取り組みに挑戦してきている。地籍調査が完了しているのも大きい」(担当者)としている。

『林政ニュース』編集部

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