国産ワサビの生産拡大や需要創出などを目指して自民党の国会議員有志が「ワサビ振興議員連盟」を立ち上げた。11月14日に東京都千代田区の衆議院第1議員会館で設立総会を開き、会長に財務大臣の鈴木俊一氏(衆院岩手2区)、事務局長に務台俊介氏(衆院比例北陸信越)が就任し、規約などを定めて活動を始めた。
ワサビは、主に生食用となる根茎と、加工用として出荷される葉柄に大別される。ワサビづくりの約7~8割は長野県と静岡県が担っており(トップ画像参照)、両県の特産品として知られているが、生産量・生産額ともに長期的に減少傾向で推移している。また、生産者の高齢化や後継者不足、シカや虫による食害、異常気象に伴う大雨被害や水温上昇、病害などもワサビづくりを維持・拡大する上での課題となっており、ワサビ議連が中心となって国などに対策を求めていくことにした。
11月14日の設立総会では、信州山葵(わさび)農業協同組合(長野県安曇野市)の武井重夫組合長と、ワサビ加工会社である(株)マル井(同)の井口連取締役からヒアリングを行ったほか、農林水産省などから国が講じている支援策についての説明を受けた。
なお、ワサビは、根茎、葉柄ともにインドネシア、中国、台湾から輸入されている一方で、根茎はアメリカ、韓国、葉柄はタイ、台湾に輸出されている。今後に向けて、価格(付加価値)の高い根茎を中心に海外市場を開拓することも重要な課題となっている。
(2022年11月14日取材)
『林政ニュース』編集部
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