国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は3月20日に、地球温暖化に関する最新の研究結果をまとめた第6次評価報告書「統合報告書」を公表した。再植林の推進や木材製品の利用などが二酸化炭素(CO2)の削減に有効であることを改めて明記し、林業・木材分野で温暖化対策を進めることの重要性を再認識させる内容となっている。
「統合報告書」は、IPCCが設置している3つの作業部会等が作成した報告書の内容を簡潔にまとめたもので、世界各国の政策形成や国際交渉などに強い影響力を及ぼす。今回は、コロナ禍もあって9年ぶりの公表となった。
公表された最新の「統合報告書」は、人間の活動が地球温暖化を引き起こしてきたことは「疑う余地がない」と記し、世界の平均気温の上昇幅を1.5度に抑えるためには、CO2など温室効果ガスの排出量を2035年までに2019年比で6割減らす必要があるとした。
温暖化防止に向けた「短期的な対応」の中では、森林をはじめとした生態系の保全・管理の向上と回復を図ることが重要とし、温室効果ガスの排出量が多い製品に代わって長寿命な木材製品などを使用することが有効と評価した。また、「長期的な対応」の中でも、再植林や森林減少の削減、森林経営の向上などを通じて、CO2の吸収を進めていくべきと位置づけている。
(2023年3月20日取材)
『林政ニュース』編集部
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